古のベトナムを感じる世界遺産ホアルー
ハノイの南約114キロにあるホアルーは、かつて都がおかれていた由緒ある町。現在でもその残り香を、そこここに感じることができます。それまでも、ハノイから日帰りで観光できるため、ベトナムのローカルの人々にはよく知られた観光地でしたが、2014年に、近郊のチャンアンなどとともに世界複合遺産として登録されて以降、多くの外国人観光客にも知られるようになりました。情緒漂う古都ホアルーの魅力をご紹介しましょう。
1000年前の都
古都ホアルーは現在は、ニンビン省の省都ニンビン市郊外約6kmにあります。
現在では、切り立った山と湖、水田に囲まれた小さな田舎町といった風情ですが、かつては一国の都が置かれた重要な場所でした。
ホアルーの歴史について、簡単にご紹介しましょう。
ホアルーは968年、丁朝(ディン朝)の都が開かれた地です。それまで1000年にわたって続いた中国の支配が終わり、内紛状態に陥っていた北部ベトナムの地を、丁朝が統一、初の独立王朝となりました。初代の王はディン・ティエン・ホアン。ホアルーは1010年にタンロン(現在のハノイ)に遷都するまでの、首都として政治経済の中心となっていたのです。
初代王と2代目王を祀る祠
現在のホアルーは、石灰質の断崖と湖や川に囲まれた、こじんまりとした町となっています。その風景に溶け込むように、ディン・ティエン・ホアンの廟があります。石敷きの参道と狛犬を伴った楼門、その奥に祠は、苔むして歳月をまとい、日本人にもどこか懐かしさを覚えるようなたたずまい。長く支配を受けた中国の影響を受けた建築様式であることがわかります。この廟は建立当時のものではなく17世紀に再建されたものです。
ディン・ティエン・ホアンの廟のすぐ近くには、2代目王レー・ダイ・ハンの廟もあります。レー・ダイ・ハンは、暗殺されたディン・ティエン・ホアンの妃と結婚して丁朝を継承した将軍です。この二つの廟を歩くだけでも、当時の建築技術の高さとともに、激動のベトナムの歴史を肌で感じることができそうです。
ホアルーへのアクセス
ホアルーへの観光の拠点となるのは、ニンビンです。ハノイから訪れる場合、ザップバット・バスターミナルからニンビンへの直行バスが出ています。所要時間は約2時間。
また列車も運行されています。ハノイ発ホーチミン行き列車で途中ニンビンに停車する列車が1日数本出ています。こちらも所要時間約2時間。
ニンビンからホアルーまでは約6kmなので、タクシーをチャーターするのがおすすめです。
ホアルーへ訪れるなら、“陸のハロン湾”とも呼ばれるチャンアンを訪れてみては。現地発のツアーでしたら1日でそれらを回ることができ効率的です。