ベトナム、ライスペーパー作り体験レポート
ベトナムの代表的な料理と言えば「生春巻き」。フレッシュな野菜をモチモチとした皮で包んだもので、ベトナムレストランに行けばたいていの人がオーダーするのではないでしょうか。ベトナムに行くと、自分で具材を巻いて食べるように供してくれるところもあります。日本でも手軽にエスニック料理が食べられるようになった今では、生春巻きを作る家庭も増えてきましたが、ここでなくてはならないのが「ライスペーパー」。今回、このライスペーパーづくりを現地で体験してきました。
ライスペーパーとは
ライスペーパーは文字通り「米」から作ります。ベトナムで生春巻きと並んで人気の食べ物であるフォーも米から作った麺の料理ですね。日本も米食の国ですが、ところ変われば加工方法も異なるものです。
作り方は意外とシンプル。
砕いてドロっと乳液状にした米を平らに広げて蒸気で蒸し、一枚一枚乾かす。なんとこれだけです。
クレープの作り方を想像してみてください。クレープは薄く焼いた直後に具材を巻きますが、ライスペーパーは、蒸して固まったものをはがして天日干しにします。ライスペーパーに刻まれた縦横の線は、乾燥させる時に乗せたすだれの模様なのです。完成品はパリパリに乾いているので、具材を巻くときはいったん水にぬらして柔らかくします。
ライスペーパーづくりを実際に体験
ライスペーパーづくりを体験したのは、ホーチミンから陸路で1時間半ほどのところにあるクチ地方の農家です。クチというのは、ベトナム戦争時代の地下トンネルで有名なところで、この地下トンネルは今では観光名所にもなっています。ベトナムの農家では副職としてライスペーパーを作っていて、その数なんと1日に1000~2000枚というから驚きです。
訪問した農家では、現在の日本ではほとんど見られなくなったかまどを使っていました。かまどの火で湯を沸かした鍋に布を張り、その上に糊状にした米を薄く塗ります。すぐに固まるので棒を使って器用にそれをはがし、すだれの上に並べて乾かします。
あっという間に1枚できてしまうので簡単そうに見えますが、やってみると難しい! 米がねっとりとしていて薄く伸ばせず、棒1本ではそれをうまくはがせません。見るのとやってみるのとでは大きく違う、それが体験の楽しいところです。見学と体験を終え、クチのレストランで昼食をいただきました。川と緑に囲まれた穏やかな雰囲気の中で、ベトナムの田舎の味を楽しみました。
いろいろなライスペーパー
ベトナムに行くと、生春巻きよりも揚げ春巻の方がポ ピュラーな印象を受けます。中華料理の春巻の皮は小麦粉でできているのに対して、ベトナムの揚げ春巻はライスペーパーを使っているので、よりサクサクとし た食感です。揚げ春巻用のライスペーパーは生春巻き用よりさらに薄く、揚げたときのミルフィーユ状の食感は、日本でもなかなか味わえない美味です。
また、大きさも30cm、22cm、16cmなどといろいろ あります。ゴマやエビなどの入ったものもあるので、市場の乾物屋さんで探して日本へのお土産にするのも喜ばれそうです。保存がききますし、春巻以外にも細 く切ってフォーにしたり、刻んでスープに入れたり、焼いてせんべいのようにして食べることもできます。一枚一枚手作りしているのを見て、ますます春巻きを おいしくいただきたいと思うようになりました。ベトナムに行ったらぜひ体験してみてはいかがでしょうか?