長野県は全体でユニバーサルツーリズムに熱心に取り組んでおり、身体の不自由な人も高齢者も旅がしやすい環境づくりが進められています。その一角を担うのが上諏訪温泉であることを前回綴りました。
上諏訪温泉のユニバーサルツーリズムで、特に先進的な宿は「しんゆ」です。
全36室中7室がユニバーサルデザインで、どのお部屋もアジアンティストの設え。エキゾチックさが醸し出されています。客室からは静かな諏訪湖が一望でき、非常に心地が良い。
私が宿泊した507号室には半露天風呂が付いており、入浴しながら眺める諏訪湖も素敵でした。
最上階の7階のスイートルームは、高さ7センチ幅の段差があるものの、諏訪湖の眺望はやはりここが一番!息をのむほどの絶景が見渡せます。
最も特筆すべきは2023年の館内リニューアルの際に新設された貸切風呂です。
新たに3か所作られたうちのひとつが車いす対応で、好評を博しています。
まず広い脱衣所でシャワーキャリー(浴場用車いす)に乗り換えます。脱衣所から浴場へはフラットで、移動に全く問題ありません。
浴場もとても広く、奥の一角にある湯船ゾーンまでシャワーキャリーを動かします。
ここにシャワーキャリーを止め、レバーを作動させると湯船の底が昇降します。
湯船の底が沈んでいくと温泉が溢れ出し、車いすに乗ったまま入浴ができるのです。
これは「水圧式昇降機付浴槽」という機械で、介助に慣れていない家族でも、シャワーキャリーに移乗させれば入浴サポートができます。
なお脱衣所には車いすユーザーにも利用しやすいトイレが併設されています。
山崎まゆみさんのプロフィール紹介
山崎まゆみ 温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)
現在33カ国の温泉を訪問。観光庁や地方自治体の観光政策会議に有識者として多数参画。
ユニバーサルツーリズムについての活動は、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020評価会議」、観光庁「ユニバーサルツーリズム促進事業」など、様々な委員を歴任。
NHKラジオ深夜便で「バリアフリーで温泉を楽しむ」に出演中(毎月第4水曜日)
東京新聞で「バリアフリーで行こう!」連載中(毎月第2・4水曜日掲載)
著作には『行ってみようよ! 親孝行温泉』は「バリアフリー温泉で家族旅行」のシリーズ第3弾。この他、温泉や旅にまつわる書籍『宿帳が語る昭和100年』など多数。
4月8日には新刊『おいしいひとり温泉はやめられない』(河出文庫)を発売。