フィリピンのおすすめの世界遺産(文化遺産)3選

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フィリピンには世界遺産に登録されたエリアが2017年現在、計6カ所あります。今回は、このうち文化遺産3カ所を取り上げ、その魅力や歴史についてご紹介します。マニラのサン・アグスチン教会などバロック様式教会の建築群、2000年の歴史を誇るコルディリェーラの棚田、そして大航海時代の交易都市ビガンです。

世界遺産ではないけれどマニラ大聖堂もおすすめ。

建築や美術に興味がある方におすすめ! 文化遺産1 フィリピンのバロック様式教会群 (Baroque Churches of the Philippines)


日本からフィリピンを訪れる際の玄関口、首都マニラにあり、フィリピンで最も古く、世界遺産にも真っ先に登録されたのがサン・アグスチン(San Agustin)教会です。スペイン統治下の1571年に建てられた歴史ある教会で、今も礼拝堂には壮麗なステンドグラスの窓、天井と壁には壁画が残っています。そして同教会を含む計3カ所・4つのバロック様式の教会が、「フィリピンのバロック様式教会群」として1993年から世界遺産に登録されています。

マニラのサン・アグスチン教会のほか、ルソン島北部パオアイ(Paoay)のサン・アグスチン(San Agustin)教会、同じくルソン島中部サンタ・マリアにあるアスンシオン(La Nuestra Senora de la Asuncion)教会、そして南のヴィサヤ諸島西にあるパナイ(Panay)島ミアガオ(Miag-ao)にあるビリャヌエバ(Santo Tomas de Villanueva)教会が、この世界遺産に含まれています。いずれも16世紀末から18世紀に建てられ、布教活動の拠点であると同時に、海賊や侵略者、異教徒に対峙する要塞としての役割も備えていました。

欧州で生まれた石造りのバロック建築ですが、単なるコピーや模倣にとどまらず、フィリピンの建築家たちが独自の解釈を加え、また南国フィリピンならではの建築資材や伝統的な装飾デザインも使われているのが見どころの1つ。例えば同じ石造りでも、フィリピンでは、サンゴ質石灰石や火山性の凝灰(ぎょうかい)岩などが使用されています。

地理的条件の違いから、フィリピンでは地震への備えも考慮されたバロック様式が発展しました。18世紀初めに完成したルソン島パオアイの教会は、耐震構造を考えて建てられたバロック建築として有名です。またパナイ島の教会では、現地の人々のキリスト教理解を促進するために、パパイヤ、ココナッツ、ヤシの葉などが装飾デザインに使われたり、カトリック聖人の服装が現地風だったりするのも、興味深いポイントです。

山岳地帯に広がる棚田の絶景! 文化遺産2 フィリピン・コルディリェーラの棚田群 (Rice Terraces of the Philippine Cordilleras)


マニラから北へ約350km、ルソン島中央を貫く山岳地帯、コルディリェーラ山脈の高地には、2000年以上の昔から受け継がれてきた無数の棚田、ライステラスが広がり、見事な絶景を作り出しています。その美しい景観は「天国への階段」などと呼ばれています。厳しい自然環境の中で、独自の開墾と農作技術を発展させてきたのは、ここで紀元前から暮らす少数民族、イフガオ族。その暮らしぶりは、最近ではサステイナビリティの模範例としても注目されています。

世界遺産には、バナウエ郡など、この一帯の5つのエリアが登録されています。キアンガン(Kiangan)郡のナガカダン(Nagacadan)村は、川が棚田の真ん中を流れている景色が美しいところ。フンドゥアン郡の棚田(Hungduan)は蜘蛛の巣のように広がるユニークな形状。マヨヤオ(Mayoyao)郡の棚田は、登録エリア全体の中央に位置し、伝統的な農家の家屋や穀物蔵などが点在する牧歌的な風景が魅力です。バナウエ(Banaue)郡にあるバンガーン(Bangaan)村の棚田も、イフガオ族の村の背後に広がっています。そしてコルディリェーラ棚田群の中で、最もフォトジェニックな場所の1つが、同じくバナウエにあるバタド(Batad)村の棚田。まるで古代ローマの円形劇場のような形状をしていて、棚田を降りていった底に村があります。

いずれも山岳地帯の地形に合わせ、山の輪郭に沿うように田んぼを開墾し、稲作に不可欠な水は山頂から引き込むなど、独特の灌漑システムが工夫されています。他にも生態系や土壌の維持、害虫駆除など難しい問題をコントロールし、伝統的手法で棚田を維持してきたイフガオ族の知恵に驚嘆させられること必至です。

大航海時代が薫るノスタルジックな国際都市! 文化遺産3 ビガン歴史都市 (Historic Town of Vigan)


ルソン島中部、イロコス・スル州にある古都、ビガンは、16世紀の大航海時代、スペインが東アジア貿易の拠点として築いた都市で、当時の面影が、今も美しい状態で残っています。スペイン、フィリピン、中国など、様々な文化圏の交わりによって生まれた独特のコロニアル様式の街並みは異国情緒たっぷり。マニラからは、北へ約340kmに位置します。

ビガンはルソン島の北西部、河口のデルタ地帯に位置し、かつては交易の地として栄えたため、中国系の商人も出入りし、メキシコなど南米のスペイン植民地からの物産も多く運ばれてきました。スペイン風に縦横の格子状に区分けされた市街地には、2つの広場があり、石畳の道を「カレッサ」と呼ばれる馬車が行き交います。

スペイン植民地時代には、聖パウロ大聖堂、大司教の城などが建てられました。一方、ルソン島北西部に多いイロカノ族の伝統的な木造家屋や、白い貝「カピス」を使った装飾、中国風の瓦屋根などもあり、他の国のスペイン植民地とも異なる独特の雰囲気。現存する建物の多くは、18~19世紀のものだそうです。

フィリピンの文化遺産、いかがでしたか?まだあまり知られていないフィリピンのすばらしい絶景をぜひ見つけてください。

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