前回は、佐賀県嬉野温泉で、バリアフリーやバリア情報を提供し、旅の相談に乗ってくれる「佐賀・嬉野バリアフリーツアーセンター」をご紹介しましたが、今回は具体的な宿のご案内です。
お茶どころの嬉野温泉の中でも、お茶懐石をいただけ、お茶風呂に入浴できるのが「茶心の宿 和楽園」です。嬉野川沿いに佇むしっとりとした和風旅館ですが、館内は車いすユーザーの方にも利用しやすい動線が用意されていますし、ユニバーサルデザインのお部屋もあります。
例えば、客室「蔦」「葵」の2部屋は和洋室タイプ。客室までの車いすでの移動もスムーズですし、客室に付いている露天風呂や内風呂には源泉が注がれています。さらに客室内で食事を摂ることができるダイニングテーブルも準備されています。
創業100年の老舗旅館「大正屋」と姉妹館「椎葉山荘」
もう1軒、創業100年の老舗旅館「大正屋」にも「本館バリアフリー客室」があります。段差のない洋室で、洗面所は車いす対応の広いスペースとなっています。内風呂には源泉が引かれており、室内には電動式でリクライニング機能がつくベッドが設置されています。
さらに、「大正屋」の姉妹館である「椎葉山荘」にも温泉付きのユニバーサルデザインの客室があります。
山崎まゆみさんのプロフィール紹介
山崎まゆみ 温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)
現在33カ国の温泉を訪問。観光庁や地方自治体の観光政策会議に有識者として多数参画。
ユニバーサルツーリズムについての活動は、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020評価会議」、観光庁「ユニバーサルツーリズム促進事業」など、様々な委員を歴任。
NHKラジオ深夜便で「バリアフリーで温泉を楽しむ」に出演中(毎月第4水曜日)
東京新聞で「バリアフリーで行こう!」連載中(毎月第2・4水曜日掲載)
著作には『行ってみようよ! 親孝行温泉』は「バリアフリー温泉で家族旅行」のシリーズ第3弾。この他、温泉や旅にまつわる書籍『宿帳が語る昭和100年』など多数。
4月8日には新刊『おいしいひとり温泉はやめられない』(河出文庫)を発売。
本連載は、月に1回、各地を取材し、環境整備をお手伝いしてきた私が、親孝行温泉・三世代・四世代旅行をお考えの読者の皆さんに、とっておきな温泉地や宿をご案内していきます。