バリアフリー・ユニバーサルデザインの宿は増えてきましたが、観光地や温泉地が一体となって取り組むところはまだまだ少ないのが課題です。
しかし、山形県天童温泉は特別です。
2021年から4年間、町全体でユニバーサルデザインの街づくりに取り組み、天童市内で24もの事業者が参加したそうです。
まず「東北、山形で連泊できる滞在型の温泉宿泊地」という目標を掲げ、施設改修とユニバーサル化を温泉街の総意で進めました。
ただし、天童の人たちは「うちはバリアフリーじゃない」と言います。
「バリアフリー」は、建物をフラットにするという意味合いに留まりがちで、言葉足らずだからです。
高齢者も身体の不自由な人も、妊婦さんも、さまざまな状態の人を受け入れられる温泉地になるというのが、気概であり、洗練されたデザイン性に富む施設改修をしました。
天童温泉は「ハード」だけでなく「ソフト」にも力を入れている
実は施設整備だけではなく、地元の介護事業者と連携して、⼊浴介助⼠による研修を実施するなど、ソフト面の強化をしているのも特徴です。こうした介護事業者が協力しているのは非常に頼もしく、宿に相談すれば入浴介助サービスなども受けられます。
コロナ蔓延中の時期から丹念に進めてきた取り組みなのに、まだまだ広く伝わっていないことが残念!
三世代、四世代旅行者にぜひご活用いただきたいです。
次回は具体的に宿やお風呂をご紹介します。
山崎まゆみさんのプロフィール紹介
山崎まゆみ 温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)
現在33カ国の温泉を訪問。観光庁や地方自治体の観光政策会議に有識者として多数参画。
ユニバーサルツーリズムについての活動は、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020評価会議」、観光庁「ユニバーサルツーリズム促進事業」など、様々な委員を歴任。
NHKラジオ深夜便で「バリアフリーで温泉を楽しむ」に出演中(毎月第4水曜日)
東京新聞で「バリアフリーで行こう!」連載中(毎月第2・4水曜日掲載)
著作には『行ってみようよ! 親孝行温泉』は「バリアフリー温泉で家族旅行」のシリーズ第3弾。この他、温泉や旅にまつわる書籍『宿帳が語る昭和100年』など多数。
4月8日には新刊『おいしいひとり温泉はやめられない』(河出文庫)を発売。