北京近郊の世界遺産・万里の長城と明の十三陵を巡る中国歴史旅
世界屈指の登録件数を誇る中国国内の世界遺産。そして北京近郊にある多くの世界遺産の中でも、やはり高い人気と知名度を誇るのが万里の長城、そして同じ明朝時代の遺産である明の十三陵ではないでしょうか。
そこで今回は、JTBスタッフおすすめの、朝は万里の長城、午後には明の十三陵と2つの世界遺産をもれなく観光するアクティブな北京近郊1日観光をご紹介させていただきます!万里の長城の中でも保存状態の良い八達嶺長城を歩いて体を動かしたあとは、「明の十三陵」の中のひとつである地下27mの深さに築かれた殿堂が残る定陵を見学。天寿山の麓に点在する明朝13人の皇帝が葬られた陵墓はとても荘厳で、長い歴史を感じさせられますよ。
人類史上最大の建造物、万里の長城
中国北部に築かれた東西に延びる長城(防御壁)は、主な部分だけでも全長約3,000kmに及びます。現存する長城の大部分は、明朝の時代(1368~1644年)にモンゴル侵入に備えて築かれたと言われていて、防御のための高い城壁には要所ごとに望楼が造られました。
北京近郊に残された万里の長城の中でも有名なのが八達嶺長城。
北京市街地から北西へ約70kmのあたりに位置します。八達嶺は標高1,015mの山で、古くは軍事、交通上の要衝でした。ここに関所(居庸関)を置き外敵に備えたそうです。
八達嶺長城は保存状態もよく、山並みに沿って遥か彼方まで続く城壁はまるで龍が飛んでいるかのようで本当に美しく、訪れると教科書で学んだ歴史が目の前に広がっていることに感動してしまいます。また、万里の長城の城壁はとても機能的で、北側に敵を撃つための銃眼が設けられていたり、雨水を流す水流しがあったりします。その構造も見どころですよ。
万里の長城を楽しむ2つのルートの特徴
八達嶺長城は全長約3.7km。登長城入口を入ると通称「男坂」と「女坂」の2つのルートがあります。それぞれのルートの特徴をご紹介します。
ゆるやかで比較的広めの「女坂」
比較的歩きやすいのが「女坂」。入口から右へと進む北ルートです。比較的緩やかな坂道で登りやすく、八達嶺最高地点の城楼、北八楼まで行くと1時間以上かかります。
歩き始めるとすぐに、途中にある北四楼、さらにその奥に最高地点の北八楼までも見渡すことのできる雄大な景色が広がります。その景色を見ると「万里の長城に来た!」という実感が湧いて一気にテンションが上がります!さらに北八楼に向かう途中にある北四楼からの見晴らしは抜群!しっかりと体を動かして歩いてきた心地よい疲れも相まってとてもリフレッシュできますよ。 北四楼から八達嶺最高地点の北八楼まではさらに30分ほどかかるので、北四楼からの景色を見ながら少し休憩してパワーチャージしてくださいね。
急な坂道だけど人が少ない「男坂」
「男坂」は入り口から左へと行く南ルートで、厳しい坂道と階段を進みます。
途中、急勾配な階段は手すりなくしては進めないほどかなり険しい道ですが、女坂に比べて歩く人が少ないというメリットがあります。険しい男坂のルートを実際に歩いてみると、明の皇帝らがどれだけモンゴルを驚異に感じていたかがよく分かります。男坂の終着で、最高峰となる望楼が南四楼。その先は南五楼、六楼と順に続いていきます。万里の長城を観光しながらしっかり運動したい方、中国の歴史の神髄を感じたい方はぜひ男坂のルートにチャレンジしてみてくださいね。
万里の長城は山の地形をそのまま利用して築かれていて、城壁の上は石畳ですが坂になっているため、“山を登る”ような感覚です。天候や自分の体調、現地滞在時間と混雑状況などと相談してどちらのルートを歩くかを決め、途中疲れたらひと休みしつつご自身のペースで歩くようにしてください。快適な服装と履きなれた靴での散策がおすすめです。どちらのルートを選んでもしっかり体を動かすので、帽子やミネラルウォーターも忘れずに持って行ってくださいね。
明の皇帝が眠る陵墓、地下27mの地下宮殿へ
明の十三陵は、北京市街地の北西約40km、天寿山の麓に位置しています。明朝の皇帝13人の陵墓が点在していて、そのうちいくつかの陵墓が一般公開されています。
明の十三陵の中でも、ぜひ見ていただきたいのが14代皇帝の万暦帝(1572~1620年)とその皇后が葬られた定陵。地下27mの地点に建造された白亜の地下宮殿(玄宮)は必見です!地上にも門や楼がありますが、さらに地下には前殿、中殿とその両脇に左配殿と右配殿、そして後殿の5つの殿が築かれています。高さ7~9mにも及ぶアーチ型の天井は全て石で組まれたもので、実際に見てみるとその建築技術の高さに圧倒されます。地上からは見えない地下宮殿の散策は薄暗くひんやりとしていますが、冒険しているようでわくわくした気分になりますよ!後殿には、万暦帝とその皇后の棺が安置されていて、棺とともに出土した副葬品は金銀器や磁器、絹織物、装飾品などなんと2,000点。どれも当然ながら贅沢なものばかりで、当時の皇帝の贅を極めた生活を想像しながら見学してみてくださいね。
定陵のほか、大紅門をくぐって長陵の方向へと延びる800mほどの神道の両側にずらりと並ぶキリンや象、ラクダ、獅子といった24体の石獣像と、12体の文官や武官らの石人像もフォトジェニックでおすすめです。
八達嶺長城や明の十三陵へのアクセス
八達嶺長城や明の十三陵へは、いずれも北京から公共交通機関を使ってアクセスできますが、1日でその両方を巡るのは厳しいかもしれません。1日で効率的かつアクティブにこの2つの必見スポットを巡りたい方には北京発着のオプショナルツアーへの参加がおすすめ。北京から日帰りで2つの世界遺産を訪ねることができ、限られた時間のなかで効率よく観光することができます。ガイドさんが日本語で歴史や文化を説明してくれますし、タイプによっては、茶館での茶道体験や中国茶の歴史を伝える博物見学、中国茶の試飲など中国の茶文化を知ることのできるアクティビティがセットになったツアーもありますよ。
北京を訪れたら都市部を離れて郊外へ足を伸ばし、中国が誇る有名な世界遺産2つを巡るアクティブな1日を過ごしてみてはいかがでしょうか?万里の長城でしっかり体を動かして心地良い疲れを感じながら、中国の歴史を感じられる明の十三陵を訪れたら、リフレッシュできるだけでなく文化的な学びも多い充実した旅になりますよ!