「逃げバリ」
東日本大震災から、15年が経ちます――。
自然災害の多い日本において、観光地の防災は大きな課題ですが、ユニバーサルツーリズムの分野においても、やはり重要です。
逃げるバリアフリー、通称「逃げバリ」は、NPO法人バリアフリーネットワーク会議代表で沖縄在住の親川修さんが発案され、「障がいのある方たちを安全に避難させる『逃げバ』の整備が必要です」と提唱してきました。
「逃げバリ」のポイントは、障がいがある人とのコミュニケーションの方法を考えることです。視覚障がい、聴覚障がい、肢体不自由、アレルギーや難病、知的障がいや精神障がい、高齢者といった方々が、避難する際に何に困るかはそれぞれ異なるので、それらを把握し、適した対応を取ることが大切なのです。加えて、親川さんは「実証と訓練で常に備えることが最も大事」とおっしゃっています。
こうしたノウハウは「逃げるバリアフリーマニュアル」に記載されています。
親川さんからご紹介頂いた沖縄のユニバーサルデザインの宿があります。
「ユインチホテル南城」は那覇空港から南へ車で40分程。高台にあるホテルから眺められる街並みとその先の大海原が素晴らしい。
沖縄県名護市にある宮里病院を母体とする医療法人タピックが、厚生年金休暇センターだった建物を「ユインチホテル南城」としてリニューアルしたのが2009年。その後、敷地を2119メートル掘削し、2012年に温浴施設「猿人の湯」を開業しました。
ホテルのアネックス棟1階にバリアフリーの「ユニバーサルファミリー」が3部屋あり、プライベートな庭もあります。天井が高く、64㎡の部屋にベッドが4台置かれただけの広々とした空間です。
この部屋からバリアフリ―対応の貸切風呂へも近く、「猿人の湯」と同じお湯を堪能できます。ねっとりと濃く、舐めると塩っ辛く、足先の隅々まで温まる温泉です。
山崎まゆみさんのプロフィール紹介
山崎まゆみ 温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)
現在33カ国の温泉を訪問。観光庁や地方自治体の観光政策会議に有識者として多数参画。
ユニバーサルツーリズムについての活動は、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020評価会議」、観光庁「ユニバーサルツーリズム促進事業」など、様々な委員を歴任。
NHKラジオ深夜便で「バリアフリーで温泉を楽しむ」に出演中(毎月第4水曜日)
東京新聞で「バリアフリーで行こう!」連載中(毎月第2・4水曜日掲載)
著作には『行ってみようよ! 親孝行温泉』は「バリアフリー温泉で家族旅行」のシリーズ第3弾。この他、温泉や旅にまつわる書籍『宿帳が語る昭和100年』など多数。
4月8日には新刊『おいしいひとり温泉はやめられない』(河出文庫)を発売。