スペイン南東部、コスタブランカ州の町エルチェは、10世紀末、イスラムの町として建設された。当初から緻密に灌漑施設が造られ、今も20万本にのぼるナツメヤシが生い茂る椰子園が広がっている。ナツメヤシの林が広がる風景は、もともとは北アフリカの典型的な風景だが、イベリア半島のこの地方での歴史も古く、古代フェニキア人やローマ人が居住していたころから生えていたことがわかっている。ここの椰子園に見られるアラビア式農法は、イベリア半島の大部分がイスラム教徒の支配下に置かれていた時代に、ヨーロッパ大陸に持ち込まれたものだ。現在でも、アラブ式農法が残るヨーロッパ大陸唯一の場所として希少な価値をもつ。その希少性が評価され、2000年に世界遺産に登録されている。