旅の輪で広がる、人生の彩り
毎週水曜日更新添乗員や企画担当者が旅行に限らず様々なテーマで、日常のコラムを投稿!
ウンブリア州の小さな中世都市 オルビエート

オリーブの並木とブドウ畑が一面に広がる田舎町へ!
現在のトルコ(小アジア)のあたりからやって来た古代エトルリア人文化に起源を持つ火山性凝灰岩の岩盤の城郭都市。
ルネッサンス時代は免罪符を売りさばき経済的危機を救った法王庁の功罪でプロテスタント・ドイツ軍がローマを焼け野原にした際(ローマの略奪:1527 年)ローマ法王の重要な避難場所にもなった人口 約2万人の小さな街だ。
夥しい数のツーリストでごった返す喧騒のローマから鈍行電車で北におよそ1時間15分の距離でローマからの日帰りも可能な街でもある。
うねるような大地に糸杉の並木と陽差しを受けて白銀に輝くオリーブ畑。イタリアの緑の心臓。ウンブリアの小さな宝石と喩えられる。雑踏から抜け出せた爽快感。そこにもってきて産地直送の白ワインの美味しいこと!オルビエートクラシコのSecco(中辛口)とAmabile(甘口)をぜひ飲み比べていただきたい。
このオルビエートクラシコは古くはエトルリア人の地下住居の一角で作られていたとても歴史あるワインだ。
エトルリア人は紀元前8世紀からこの地に定住し鉄器技術や王政制度を広めた先住民族で彼らは地下の涼しい場所でワインを発酵させ甘いワインを作るための特別な技術も持っていた。地下の涼しい環境は、発酵過程をコントロールしやすくワインの品質を保つのに適していたといわれる。またブドウの糖度を高めるために収穫を遅らせたり、収穫後にブドウを乾燥させるなどの方法を用いて、糖度の高いワインを作っていたと考えられている。
赤いケーブルカーで街の中心へ。イタリア5本の指に入る壮大な14世紀ゴシックロマネスク様式の大聖堂。
ファサード(大聖堂正面部分)は細やかな浮彫装飾と聖母マリアの生涯を色鮮やかなモザイクで表現し西陽が差し掛かると淡く燃え立つように浮かび上がる。

イタリア最大級のパイプオルガンも見逃せません!
そしてここではぜひ地元ならではのパスタを楽しみたい。ストロンゴッチという地元のうどん状パスタが有名でモチモチと噛み応えのある麺はちょうど靴紐(Stringa)に似ていることからこの名前が付いた。
トスカーナからウンブリア州にかけてラグーによく絡むPici(ピチ)という手で丸くこねた太麺パスタもご当地名物だ。ウンブリア州は「黒いダイヤ」と称される黒トリュフの産地としても知られ麺の太さから黒トリュフのペーストをパスタソースにするとしっくりくるようだ。もちろん濃厚なトマトソースとも相性はばっちり。

太麺ピチには濃厚なソースがよく合います!

黒トリュフの塊の瓶詰めをお求めいただいてスライスオン!
トリュフペーストでも十分美味しいパスタに!
黒トリュフのペーストの瓶詰も、ストロンゴッチの袋入り乾麺もお土産として日本に持ち帰りは可能なので現地で食べ損ねてもご安心あれ。
イタリアにはこのように中世の面影を残す小さな城郭都市や丘の上の街々がまだまだたくさん点在している。
一度といわず何度でもイタリアの素朴な奥深さを知っていただくためにぜひとも珠玉の小さな街を外さないで訪れていただきたい。




