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ミケランジェロ・ボナロティ

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目次

ルネッサンスの巨匠

ルネッサンスの真髄を語る時、辿りつくところはやはり『ミケランジェロ』である。
頑固で意固地でネクラ、非社交的。
プライドは人一倍強く、芸術における己の確固たる信念を貫くためにはたとえ法王や高位聖職者といえども反発することを躊躇しない。
恬淡家とはおよそ無縁の彼は金に対する執着もかなりのもので作品製作の契約金で法王庁ともめにもめること数知れず。
ミケランジェロは弟子を使わないことでも有名である。
なぜなら弟子を使うということは彼のプライドが許さないからである。
敵を作りやすいタイプの彼を連想させるキーワードは決して肯定的なものではない。
しかし、その天才を畏怖して同世代の人々は「神に比すべき者」と彼を呼んだ。
もともと彫刻家を自認するミケランジェロ。
油彩画は「女どもにお似合いだ。」と鼻であしらい絵画は色彩の点で人々を惑わし現実逃避のなにものでもないというのが彼の持論である。
人間の背徳や良心的思想を全て背後に押しやってしまう。
「秀作と言える絵画が存在するならばそれは彫刻的絵画である。絵画は彫刻に近づけば近づくほどより完成度の高いものとなる。」
まさに彫刻家ミケランジェロの面目躍如といったところである。

ルネッサンスの巨匠のひとりレオナルド・ダ・ヴィンチとはよく比較対照される。
基本的には二人の“美に対する観念”というのはまったくの正反対である。
簡単に言うとミケランジェロの美に対する観念というのは「排除、削除すること。」つまり削り取ること。
彼は彫刻を得意としたわけである。
一方のレオナルドは「付加すること。」つまり絵の具の重ね塗り。
彼は油彩画、絵画を得意としていた。
もともと試行錯誤の連続で時間を要する大器晩成型のレオナルドには素早い筆運びと高度なデッサン力を要求されるフレスコ画は向いていなかった。
したがってミケランジェロはレオナルドに強烈なライバル意識を持つこととなるがレオナルド自身は 23 歳も歳の離れた自分の息子のようなミケランジェロのことははなから相手にしていなかったようである。
ある知人へ宛てた手紙の中で「絵画が彫刻よりも高貴であるなどと言う輩が他のことにもこの程度の判断力しかないのならうちの料理女の方がまだましだ。彼女の方がうまくやるよ。」とレオナルドへのあてつけのような辛辣な言葉をしたためている。

こんな偏屈男も時には恋をすることもあった。
その対象が女性でない。
というところは、やはりその辺のフツーの人種とは一線を画する彼ならではである。
実際はこの時代、同性愛に身をゆだねる芸術家はなにもミケランジェロに限ったことではなかった。
しかし当時、カトリック社会において同性愛に耽るということは許しがたい神への冒涜ともみなされた。
“人間の美しさ、とりわけ若い男性の美しさはあまねく処罰の対象である。”
身をさいなまれ、己の心の葛藤に悶え苦しむ。
果たして激しい恋情の結末はいかに・・・。
調和・統一が最も重視された自然主義、ルネッサンス。
その真っ只中において、なんびととも調和を図ろうとしなかったミケランジェロ。
しかしどうしても万人に畏敬の念を抱かせてしまう。
彼の人間的魅力に迫る余地はまだまだありそうだ。
システィーナ礼拝堂の 2 つの巨匠のフレスコ画。
ローマ教皇ユリウス 2 世との確執によって生まれた天井画には旧約聖書の最初の場面 天地創造から人類誕生までを描いた『創世記』が描かれミケランジェロ 33 歳から約 4 年の歳月を経て完成。
比類なき調和美と躍動感あふれるダイナミックな人体表現と色彩力は見る者を惹きつけてやまない。
そして巨匠、齢 60 歳、天井画に劣らぬ気迫をみなぎらせ祭壇に描いたテーマは新約聖書の最期の場面 人類の終末を描いた『最後の審判』。
最後の審判者イエスキリストの足元には、12 使徒のひとりでインドで布教活動中、自身の生皮を剝がされて殉教した聖バルトロメオを自画像として残しているところも見逃さないでいいただきたい。
祭壇画が完成したときミケランジェロは 66 歳になっていた。
彫刻的絵画の最高傑作と讃えられ、画家としても天才の名をほしいままとした。

皆様!25 年に一度の聖年がいよいよ今年のクリスマスからスタートです。
今までの人生において、すべての罪を神様が引き受けてくれる大変有難い年です。
そんな記念すべき年にバチカン博物館・サンピエトロ大聖堂を訪れ巨匠ミケランジェロの足跡を辿ってみてはいかがでしょうか?

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システィーナ礼拝堂 個人写真(特別入場のため撮影許可のあるときに撮りました。通常は内部は撮影禁止。私語禁止。)

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サンピエトロ大聖堂
この記事を書いた人
山中 尚子
山中 尚子
得意エリア
西ヨーロッパ(イタリア・スペイン他)
どんな旅にもちょっとしたハプニングはつきもの。一時のハプニングを想い出話に変えてしまうポジティブシンキングも旅の醍醐味です!
いつもの日常空間から少し離れて、のんびりとゆったりした気持ちで一緒に非日常を楽しみましょう!
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