自然とデジタルアートの没入体験「阿寒の森ナイトウォーク・カムイルミナ」【北海道 カムイルミナ】

北海道
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手つかずの自然が残る阿寒摩周国立公園内での幻想的な光の世界をナイトウォーク
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公開日:2025.07.15
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更新日:2025.07.15
北海道に行ったことがあるという方でも道東エリアに行かれた方は少ないのではないでしょうか。道東の魅力は、なんといっても手つかずの自然とそこで育まれた豊かな文化を体感できること。阿寒摩周・釧路湿原・知床と3つの国立公園があり、これらをつなぐ全長約410kmのルート「北海道東トレイル」が2024年10月に開通したことで、雄大な自然の景観と多様な生態系、そして地域の文化や歴史にふれながら歩けるようになりました。 ここでは、ロングトレイル=歩く旅はちょっとハードに感じる方でも気軽に参加できるアトラクション、阿寒湖畔の森にある遊歩道を舞台にした「阿寒の森ナイトウォーク・カムイルミナ(以下、カムイルミナ)」へ行ってみたのでご紹介します。 アイヌの伝承をベースにした物語を自然豊かな森を散策しながら幻想的な光や音、映像などのデジタルアートを通して体験できるナイトウォークは最高の一夜でした。
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阿寒湖までのバス旅から望むありのままの自然も魅力

阿寒湖底線路は、冬の前に遊覧船を陸に引き上げるレールとのこと
阿寒湖までのアクセスは、電車や飛行機を利用する場合は釧路まで行き、バスや車(レンタカー)などで向かうのが一般的なルートです。私も期待に胸を膨らませて、快適なバス旅(約1時間50分)を楽しみました。 釧路市街を抜けると牧草地が広がるカントリーサイドへガラッと景色が変わり、車窓からは日本最大の湿原である釧路湿原や森林浴が楽しめそうな原生林の風景など、北海道の雄大な自然を目の当たりにできます。

入場前に基本情報を抑えておこう!

受付会場「まりもの里桟橋」では、アイヌの集落を見守るフクロウが出迎えてくれます
バスの終着地「阿寒湖バスセンター」に到着。ここから「カムイルミナ」の受付会場がある「まりもの里桟橋」までは徒歩約5分。その前に宿に荷物を下ろし少し休憩した後に向かいました。 受付会場にはチケットブースがあり当日チケットも購入可能ですが、混雑状況により希望の時間に入場できない可能性もあるので、お得な前売りチケット(日時指定)の購入をおすすめします。
入場ゲートをくぐると、森の中の「ボッケ遊歩道」でのナイトウォークがスタート
「カムイルミナ」とは、世界各地の自然環境や独自の文化をエンターテインメントの要素を加えながらナイトウォークを通じて体験できるMOMENT FACTORY社(カナダ)のルミナシリーズの1つ。国立公園でのナイトウォークは阿寒湖が世界ではじめての試みです。 日没の30分後からはじまる「カムイルミナ」は、阿寒のアイヌに古くから伝わるユーカラ(叙事詩)「フクロウとカケスの物語」をモチーフに、自然との共生を大切にするアイヌの世界観を表現したアトラクション。プロジェクション・マッピングや幻想的な光と音で演出した森の中の遊歩道(約1.2km)を約50分~60分のナイトウォークをしながら楽しめるのが大きな魅力です。 ライトアップされた受付会場には、アイヌの人々を守る神(カムイ)として神聖な存在の「コタンコロカムイ」と呼ばれるフクロウのオブジェが展示されるなど気分を盛り上げてくれます。日が暮れてきたので、自然+アイヌ文化+デジタルアートが融合した「カムイルミナ」がいよいよスタートです!

アイヌ伝承の物語を光と音の杖を手に巡るナイトウォーク

受付で渡されるリズムスティックが、この後のキーアイテムになります
「カムイルミナ」は、購入チケットの時間(15分ごと)に合わせて21時(8月〜9月は21時30分)までグループごとに入場します。入場時間の10分前までに集合することになっているので少し早めに向かいましたが、すでに多くの人が集まっていました。 受付ではチケットの確認やコースが一方通行で戻ったりできないなど歩き方の説明があり、「カムイルミナ」を楽しむために最も重要な光るリズムスティックを受け取りました。
専用ライト「リズムスティック」を杖の代わりに、夜の遊歩道を歩いて進みます
リズムスティックはアイヌの杖をモチーフにしたデザインで、「カムイルミナ」を楽しむための魔法の杖。暗い遊歩道の足元を照らすだけでなく、進む場所ごとに音楽やナレーションが聞こえて、「カムイルミナ」の物語やアイヌ文化の世界観に自然と引き込まれていきます。まさに、自分だけのガイドであり演出家のような存在です。すべての準備が整ったので、ゲートをくぐりグループで森の入口へと向かいました。 ちなみに、入場するときはグループ単位で行動しますが、森の中では自分のペースで歩くことができ、前後のグループを追い越したり遅れたりすることも可能です。ただし、大幅に他の参加者と離れたりコースを外れたりすることはできないので注意しましょう。

自然との共生や感謝の心を大切してきたアイヌ文化に感動

門をくぐればカムイルミナの光の世界が広がります
「カムイルミナ」で展開される物語を簡単に説明すると次のようになります。 昔から自然と寄り添って生きてきたアイヌの人たち。しかし、動物を敬わなくなった人間に怒ったカムイが食料となる動物たちを絶ちます。アイヌの守り神であるフクロウは美しい歌声の持ち主のカケスとともにカムイへ願いを届けに旅立ちますが、カケスがリズムを外してしまうので願いが伝わらず救いの手が必要になりました…
地熱が立ち込める「ボッケ」も夜は一味違った顔を見せてくれます
守り神や自然をイメージしたライトアップが続きます
森の中の遊歩道には、「守り神」、「逃げゆく鹿」、「カムイの世界」、「警告」など8つのゾーンがあり、各ゾーンではリズムスティックが光と音で反応して物語をナビゲート。きらめくライトアップやプロジェクション・マッピングで映し出される幻想的な世界が森の中に溶け込み、ストーリーに入り込んでしまうほど感動の連続でした。
フクロウやシカを始め、躍動感あふれる動物たちが森の中に映し出されます

阿寒湖畔の温宿で温泉と地元食材を活かした料理を満喫

湯宿「あかん遊久の里鶴雅」の屋上にあるドーム型展望サウナ
阿寒湖にある宿は多くが湖畔にあり、客室や露天風呂から湖や阿寒連山、雄阿寒岳・雌阿寒岳など大自然のパノラマを一望できるのが魅力です。料理も湖のヒメマスやワカサギなど新鮮な魚介やジビエ、アイヌ伝統の味など、ここでしか味わえない味を堪能できます。
地元の旬の幸と北海道の味覚が揃った「あかん遊久の里鶴雅」の夕食
「カムイルミナ」を楽しんだ後は宿に戻り、地元の食材で彩られた料理に舌鼓をうち、温泉にゆっくり浸かり、旅の疲れを癒すことができました。

阿寒湖畔や湖上からは息をのむほどの絶景が広がります

湖畔から撮影しているとキタキツネがやってきてベストショットが撮影できました
翌朝は、阿寒湖畔を散策。湖面に映る雄阿寒岳の美しい姿に心を奪われました。遊覧船にも乗ってみましたが、湖上からの景色も素晴らしかったです。阿寒湖といえば特別天然記念物の「まりも」を連想される方が多いかと思いますが、それだけではなく阿寒湖温泉街を歩いているとエゾシカやキタキツネ、エゾリスに遭遇する確率が高いそうです。無料の手湯や足湯スポットが点在しているので、歩き疲れたときの小休憩に立ち寄ってみましょう。

阿寒湖畔や温泉街で思い出に残るおみやげを探しに

アイヌ文化で重要な役割を果たす木彫りの伝統工芸品をおみやげに
「カムイルミナ」での感動体験を思い出として持ち帰ろうと考え、アイヌの伝統工芸品など、旅のおみやげを探してみました。温泉街の中心部から歩いてすぐの場所にある「阿寒湖アイヌコタン」は、アイヌの方々が暮らす北海道最大級のアイヌ集落で、民芸品店や飲食店、アイヌシアター「イコロ」などがあり、アイヌ文化に直接ふれることができるスポット。木彫りや刺繍、ビーズ細工の作品などたくさん揃っています。温泉街では、「まりも」をモチーフにした雑貨やお菓子などおみやげの種類が豊富なのが印象的でした。
色は抹茶風ですが、甘さを控えたプレーンな味の「まりもようかん」

四季で異なる表情が楽しめる阿寒湖への再訪を誓う

阿寒湖畔の温泉街から約2km、標高約530mの場所にある阿寒湖畔展望台
「カムイルミナ」と阿寒湖畔の魅力を満喫した旅。自然とアイヌ文化にふれ、改めて豊かな自然の大切さを学び、温泉と美味で心身をリフレッシュできました。阿寒湖は、春は新緑と湖畔の花々、夏は澄んだ湖と深い森、秋は色鮮やかな紅葉、冬は氷結した湖上での花火やワカサギ釣りと、季節ごとに異なる美しさと体験ができる場所。また別の季節に必ず訪れたいと思いました。
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