

『Travel&Life』2026年8-9月号の巻頭特集では八重山諸島の石垣島、西表島、由布島、小浜島の個性豊かな島巡りを紹介し、その拠点となる石垣島で「みんさー工芸館」に立ち寄り、コースターを織る体験を取り上げた。
「みんさー工芸館」は、1階に織りの工房とショップがあり、2階にはみんさー織りの歴史や工程をわかりかやすく解説したパネルを展示する資料館となっている。みんさー織の生地を使ったドレスやバッグなどもあり、その変遷を知ることができる。また、隣接する建物では染めの工程などを行っている。




みんさー織は約400年の歴史があり、もともとは "みんさーふ" と呼ばれる木綿を藍で染めて織った細い帯が起源といわれ、通い婚だった時代に女性から男性へ婚約の証として贈られたもの。最大の特徴は5つと4つの絣模様で、「いつ(五つ)の世(四)までも末永く」という想いが込められている。
細い帯として始まったがみんさー織は、今でも着物の帯としても作られているが、現代の生活スタイルの変化に合わせてさまざまな商品が生み出されている。バッグやポーチ、ストラップなどの小物のほか、ボタンダウンシャツやシャツブラウス、帽子、ストールなどのファッションアイテム、タペストリーやテーブルセンターなどのインテリア用品まで幅広い。
その中で特に目を引いたのは、額装された「ニラカナイ」。薄く柔らかな色合いのベージュから始まり、薄花色、薄浅黄、青藍など絶妙なグラデーションで織り上げられている。聞けば、石垣島の海をイメージしたもので、砂浜から海、そして空を表現しているそうだ。
「ニラカナイ」のポーチ
工房でニラカナイを織っていたのは、織子の米盛清子さん。この道約30年のベテランだ。米盛さんは機織り機を巧みに操り、リズミカルに織っていく。コースター作りを体験したからこそ、その織りの作業がどんなに難しいかがよくわかる。「もう身体が覚えちゃっているから、座れば自然とね。でも、毎日が勉強です」と笑う。

ニラカナイを織る米盛清子さん

みんさー織の最後の工程である「織り」のほとんどは、技術講習を受けた『織子』という織り専門の職人たちによって行われている。その数は約100人。「織子さんの数が少なくなっているので、技術を受け継ぐ人が増えたらいいですね」と米盛さん。みんさー織りの技術はもちろん、真摯に向き合う姿勢も受け継がれ、伝統は守られていく。