カメラと旅する沖縄・離島

トラベル&ライフ 取材こぼれ話
2026年08月12日
カテゴリー
国内旅行
旅行記

トラベル&ライフ2026年8-9月号の特集撮影で、沖縄の小浜島、石垣島、由布島、西表島を回ってきた。船でしか訪れることができない離島は、どこか穏やかな時間が流れていた。澄み渡る青空と海に囲まれた島々の美しい場所。誌面では伝えきれなかった景色を、撮り下ろしの写真とエッセイで紹介していく。

小浜島

太古の昔から、小浜島はこんな景色だったのだろうか。人工物のない視界にあるのは力強く生い茂る草木と湿気を含んだ海風。横に長く枝葉を伸ばした琉球松が顔をのぞかせ、奥には青い海が広がっている。圧倒的で贅沢な自然が目の前にあった。

自転車を漕ぐ二人の姿

島内を移動していると、自転車を漕ぐ二人の姿が目に留まった。周囲わずか16.6kmの小浜島は、サイクリングに最高の場所。車なら端から端まで10分足らずで駆け抜けてしまうからこそ、自転車の速度はちょうどいい。ペダルを踏み込む二人の楽しげな後ろ姿から、島を満喫している空気が伝わってきた。

水中にすっぽり身を沈める水牛

温泉にでも入るかのように、水中にすっぽり身を沈める水牛。「水牛車」のイメージが強く、水辺でも怖がらずに歩くからその名がついたのだと思っていた。実は水牛は全身で汗をかけないため、水に入って体温調節をするのだという。ホテル「はいむるぶし」の水牛・あずきちゃんの可愛らしい水浴び姿を見て顔がほころんだ。

くば

ガイドのカニさんがかぶっていた風変わりな帽子。「くば」とよばれる木の葉で作られたものだった。大きな葉は伸縮性があり水を通さないことから、かつては水桶や餅を包む生活道具として使われていたという。御嶽(うたき)と言われる神事にも使われる神聖な木としても大切にされている。島の特別な植物を日常的にまとう姿はなんだかかっこよかった。

ブーゲンビリア

「花びらの中に花?!」そんな驚きをくれたのは、見事に色づいたブーゲンビリア。花びらのように見えるオレンジ色の部分は「苞(ほう)」と呼ばれる葉の一種で、芽やつぼみを保護している。実際の花はその中心にある小さい白い部分。南国の花の豊かさを見た気がしてなんだか嬉しくなった。

葉陰

朝から天気予報は無情にも雨一色。雨傘とレインコートを持って、万全の雨対策で外へ飛び出したが、嬉しいことに予報は "ハズレ" 。晴天の中、汗だくの撮影となった。ふと足元を見ると、大きな葉が道に美しい葉陰を作り出し、素敵な絨毯を作ってくれていた。

重山ミンサー織

約400年の歴史のある八重山みんさー織。いろいろなところで日常と溶け込む景色を見て石垣島に来たことを実感する。五つと四つの模様が表すのは「いつ(五)の世(四)までも末永く」。通い婚だった時代に女性が男性へ、婚約の証として贈られていた。その土地の文化から生まれた民芸品のある美しい光景だった。

重山ミンサー織の糸

元々は藍一色で、紺色の帯から始まった八重山みんさー織。今ではさまざまな色に糸は染められてカラーバリエーションも増え、帯以外のデザインもかなり豊かになった。その分、今の時代の寄り添ったいろいろな想いが込められているように感じた。「みんさー工芸館本店」の染められた糸を眺めてそんなことを思った。

アダン

島の至るところで実る、パイナップルに似た「アダン」。琉球神話では、島に最初に茂ったこの木の下から人間が誕生したという伝承も残っているとか。美味しそうに見える実は島に生息するヤシガニの大好物だが、人間は食べられない。その代わり、お店で食べた新芽の天ぷらはタケノコを思わせる歯ざわりと香ばしさがあり島の味覚を堪能できた。

透き通る水底

グラスボートでの撮影中、ふと珊瑚の白化現象のことが頭によぎった。危機的な状況は落ち着いたというニュースも見たけれど、今後また海面水温が再び上昇すれば、悪化するかもしれない。美しい青い海のためにできることはなんだろうと、透き通る水底を撮影しながらいろいろと思いを巡らせた。

どこまでも広がる青い海と力強い緑

沖縄の離島で見たのは、どこまでも広がる青い海と力強い緑。この景色を見つめていると、自然への畏敬の念が静かに湧き上がってきた。ただ波音に耳を傾ける贅沢なひととき。いつまでも守り続けたい島々の美しさをそっと心に焼き付けて帰途についた。

写真・文=葛西亜理沙

そのほかの取材こぼれ話とあわせてお楽しみください。

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