

『Travel&Life』2026年10-11月号の巻頭特集では、JTBが展開する国内キャンペーン「日本の旬」にちなんで、「魅力再発見の旅」と題して、対象エリアの九州を取り上げた。その中で紹介したのが、鹿児島にある仙巌園。
仙巌園は江戸時代初期の万治元年(1658)、島津家19代光久によって、雄大な桜島と錦江湾を借景として築かれた別邸。和の趣の中に風水を取り入れた中庭や島津家歴代の暮らしぶりがわかる御殿など見どころが点在する。

風水を取り入れた中庭

謁見の間
居ながらにして桜島を望む「御居間」の造りや「謁見の間」に下がる丸十紋があしらわれたシャンデリアなど、随所に贅を尽くした意匠が印象的だ。さらに目を引くのが日本建築ならではの装飾である釘隠し。釘隠しは柱が交差する部分に打ちとめた釘の頭を見せないための化粧金具で、本誌で紹介した桜島大根のほかにも、コウモリや島津家の家紋である二葉葵など11種類があり、細部にまでこだわる美意識と遊び心が見て取れる。
コウモリは中国では幸福を呼ぶ縁起物とされてきた。こうした中国の影響を受けているのは、当時、家臣の約1割が中国人だったというから、彼らの文化を取り入れやすかったのだろう。


ユニークなのが、着替えたり髪を結ったりしていた「化粧の間」の天井。天井板が矢羽根状になっており、目の錯覚を利用して部屋に奥行と立体感をもたせる工夫だという。実は島津家最後の藩主の忠義は身長が推定180cmほどといい、現代であったとしても背が高い。歴代の藩主たちも大柄だったそうなので、より広く見せるための工夫が生まれたのかと想像するのも楽しい。
天井板を矢羽根状にしているため、天井が高く見える化粧の間
JTBでは「日本の旬」にちなんで、JTBで対象プランに申し込むと旅が "もっと" 充実する現地観光オプショナルプランを用意している。仙巌園でのプランのひとつが、「JTBお休み処鹿児島」(※1)。休憩処「両棒餅屋」でのお茶と両棒餅(ぢゃんぼ餅)のセットのサービス。両棒餅は、餅を甘辛醤油味のタレに絡めたもので、2本の竹串をさしているのが特徴。これは武士が腰に大小の刀を2本さす姿が由来とされている。
もうひとつが、JTBオリジナル猫ラぺルピン作り体験(※2)。色とりどりの薩摩切子のガラスの欠片の中から好きなものを選んで、猫の顔や肉球の型に入れて自分だけのピンバッチを作ることができる。色味を揃えながら、型からはみ出さないようにガラスの欠片を入れていく。作業は単純だが、なかなか根気がいる。型に入れ終えたら、スタッフの人がレジン液を入れて、紫外線を当てて固めてくれる。休憩しているうちに出来上がるので、その場で持ち帰ることができるのもうれしい。
(※1・2)(株)JTBの募集型企画旅行で九州の国内ツアーまたはご宿泊をお申込みの方のみご利用いただけます。詳細は「旅の過ごし方」Webサイトをご参照ください。


今回のモチーフは猫だが、仙巌園と猫は縁が深いのは意外と知られていない。実は、仙巌園の一角には全国でも珍しい猫神社がある。17代当主島津義弘が朝鮮出兵の際に、猫の瞳の変化で時間を知るために猫を7匹連れて行き、そのうちの2匹が生きて帰ってきたことから、猫神様として祀っている。猫をあしらった御朱印やお守りなども人気。お殿様が愛した景色を眺め、暮らしぶりを知り、旅の記念のグッズを作るという充実した時間を過ごすことができる。

