

スイス・ベルン州(Bern)の高地、ベルナーオーバーラント地方(Berner Oberland)に、グシュタード(Gstaad)という村があります。現地では「クシュタート」や「シュタート」と呼ばれるこの村は、標高1,050mの山深い地域にあるのにもかかわらず、年間を通して多くの人々でにぎわいます。
というのも、グシュタードは世界中から著名人や資産家が集まる人気山岳リゾート地だからです。
王室の人々やハリウッドスター、世界的に知られたミュージシャンといった有名人が数多く訪れ、滞在することから、グシュタードを "アルプスのハリウッド" と呼ぶ人も。
それを裏付けるように、村の通りに並ぶのは高級ブランド店。どの店もスイスの山小屋風の可愛らしい店舗になっており、のどかな雰囲気を醸し出しています。
スイスらしい山小屋風の高級ブランド店が軒を並べる
グシュタードは、絵葉書のような美しい牧歌的風景のみならず、セレブが求める優雅な暮らし、そして一番重要であるプライバシーがしっかり守られた環境でゆったりとした生活が体験できることから、有名人や富裕層のお気に入りの場所となっていきました。
本通りにあるウシのモニュメントと水飲み場
そもそもグシュタードが最初に知られるようになったのは、スイス西部レマン湖畔のモントルー(Montreux)と、ベルナーオーバーラント地方のツヴァイジンメン(Zweisimmen)を結ぶMOB鉄道が1905年に開通してからのことです。
これにより途中駅であるグシュタードで観光客が下車するようになり、そこからこの村がリゾート地へと発展していった歴史があります。
MOB鉄道の特徴は、地元の人々の生活の足であるだけではなく、観光列車としても機能していること。そのため、人里離れた小さな秘境駅でも列車の運行本数はそこそこあり、1時間に数本ほどの列車が観光客と地元の人々を乗せて行き来しています。
ほとんど人の乗り降りがない静かな秘境駅
そしてこの路線を走行する観光列車は、通常運賃のみで乗れるのも嬉しいポイント(指定座席予約は追加料金が必要)。特に、大きな窓からパノラマビューを楽しめる「ゴールデンパスパノラマ」列車や、古き良きベルエポック時代を彷彿とさせる「ゴールデンパスベルエポック」列車は人気です。
さらに運が良ければ、日本の「南海電鉄」のラッピング列車に遭遇することも。
MOB鉄道は2017年に南海電鉄と姉妹鉄道協定を結んでおり、その翌年から記念ラッピング列車を走らせているのだとか。
鮮やかなラッピング列車の車体には日本語が
ラッピング列車を見送ってまもなく「ゴールデンパスベルエポック」列車が駅のホームに滑り込んできました。
そのクラシックな見た目は、19世紀後半から20世紀の初めまで欧州大陸を走っていた豪華列車「オリエント急行」を思わせます。
ノスタルジックな観光列車「ベルエポック」が到着
列車に乗り込んでみると、その内装も個性的。古い映画に登場しそうな列車の座席が並び、タイムトリップしたような気分になります。
グリーンと金色を基調としたエレガントな一等車内
ベルエポック列車はモントルーとツヴァイジンメン間を毎日午前と午後の計2往復運行していますが、月に2~3日の運休日があるため、前もって乗車日の時刻表を確認しておくと安心です。
木の温かみを感じる二等車もレトロな雰囲気
ノスタルジックな列車の車窓から眺める風光明媚な風景も、ぜひ堪能してみてくださいね。
列車がトンネルに入るとランプの灯りが車内を照らす
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