

スイスという国を知っていても、「スイスの首都は?」と尋ねられると思わず言葉につまる、という方は多いかもしれません。チューリッヒでもジュネーブでもなく、ベルン(Bern)という街がこの国の首都です。
「首都」といえば近代的な建物が立ち並び、多くの人々や車が絶え間なく行き交う大都会を想像しますが、ベルンはそういったイメージからはかなりかけ離れています。中世の趣をそのままに残した建築物や石畳の道、歴史あるアートのような泉などが特徴的で、1983年にはユネスコ世界文化遺産としても登録されました。
延々と続くアーチ形の通路は古都ベルンの特徴の一つ
そんな美しく古い旧市街には全長6kmにも及ぶ長い石造りのアーケードがあり、レストランやカフェ、スーパーやブティックといった店舗が数多く軒を連ねています。
旧市街に多くある、リラックスした雰囲気のカフェ
そしてそこかしこには細い路地もあり、気の向くまま街の中を探索しても、見覚えのある場所にすぐ戻って来ることができるので、安心して街歩きを楽しむことができます。
ベルン旧市街にある水飲み場の水は飲用可能
それにしても、なぜベルンがスイスの首都になったのでしょうか。もともと独立した国々の連合体「国家連合」として始まったスイス。しかし1848年に「連邦国家」へ移行した際、改めて首都を定める必要がありました。ただ当然のことながら、首都選出に関してはスイスの人々の間で意見が対立して、なかなかに大変だったようです。
ベルンの街を流れるアーレ川と「ブンデスハウス(連邦議事堂)」
最終的に国防面から、周辺国の国境から遠く、また財政基盤が強力すぎるなど首都による権力集中を憂慮した結果、スイスの仏語圏と独語圏のちょうど境に位置するベルンが支持され、新たなスイスの首都として選ばれたのです。
ベルンの街は、暑い季節になるとさらにその魅力を増します。というのも街の中を蛇行しながら流れるアーレ川(die Aare)が地元民たちの憩いの場となるからです。
1906年に架けられたこの吊り橋は保護文化財になっている
スイスで最も長い川の一つであるアーレ川はベルナーアルプスの氷河が水源で、そこから川となって渓谷や湖を経由した後に、スイスとドイツの国境を流れるライン川へと合流していきます。
目の前を流れる碧流は何時間でも見ていられる
氷河で生まれた川なだけあり、水に含まれる微小な鉱物粒子や堆積物が水中に差し込む太陽光を反射し、季節や日によって深い緑色に見えたり、また時にはエメラルドグリーンやターコイズブルーへと神秘的に変化します。
緑が眩しい川沿いの小道を歩くと心穏やかになれそう
旧市街からアーレ川沿いの道まで下り、川の両岸にある小道を散策していると、川を泳いだりボートに乗ったりしている人たちの姿も。その楽しげな様子を見ているだけで、何だか自分も涼を取れた気分になります。
アーレ川沿いから、再び長い階段を上がって旧市街の中心地へ
歴史情緒あふれ、ゆったりした空気が流れるスイスの首都ベルンで、あなたもノスタルジックな異空間へと迷い込んでみませんか?
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