
おいしいサクランボ、ラ・フランス、スイカ、柿などが採れることから、フルーツ王国として知られる山形県。ブドウも多く作られ、その生産量は全国3位、そして上質なブドウを使用したワインの生産量は全国4位を占めている。
タケダワイナリー
山形県では、古くからブドウの栽培とワインの醸造が行われてきた。19世紀後半には、殖産興業の一環として、果樹の試験場を設置。西洋由来のヴィニフェラ種であるブラックハンブルクなどのブドウ栽培が始まった。
ワイン醸造も19世紀末から薬用の甘味果実酒として小規模な生産が開始された。明治25年(1892年)には南陽市に「酒井ワイナリー」が、大正9年(1920年)には上山市に「タケダワイナリー」が誕生し、その後次々とワイン醸造所が生まれた。
「シャルドネ」のブドウ畑
戦後、生産量が激減したが、1980年頃からブドウ栽培者が高品質なヴィニフェラ種の導入に取り組んだことにより、特に「カベルネソーヴィニヨン」と「シャルドネ」が定着。それらを用いた本格的なワイン醸造が拡大した。昭和59年(1984年)には、製造者の間で情報交換を行うために「山形県ワイン酒造組合」が設立され、平成20年(2008年)には各ワイナリーの若手醸造技術者が結集した「山形ヴィニョロンの会」が発足。さらに、平成28年(2016年)に上山市が「ワイン特区」に認定され、行政がワイナリー創設のための支援を開始した。令和3年(2022年)には、ワインにおける地理的表示「山形」~GI Yamagata~に指定され、日本有数のワインの産地として知られるようになった。
「カベルネソーヴィニヨン」のブドウ畑
山形県のワインに使用されるブドウの栽培地には、水田に適さない平地と山地の中間地域が使用されている。これらの土壌は、傾斜地で水はけがよく、生育期の日照時間、気温、降水量などブドウの栽培に適した気象条件が揃い、有機酸を含んだ、健全なブドウが収穫できるという。
現在、山形県には23のワイナリーがあるが、ワイナリーは特定の地域に集中しているのではなく、大きく庄内、村山、置賜という3つのエリアに分かれているのが特徴だ。
ウッディファーム&ワイナリー
高畠ワイナリー
村山エリアは、最もワイナリーの多い地域だ。上山市はいち早くヨーロッパ系の品種の導入が早かった場所で、特に「カベルネソーヴィニヨン」は品質が高いことでも知られている。老舗の「タケダワイナリー」をはじめ、自社栽培ブドウだけでワインを造るドメーヌスタイルの「ウッディファーム&ワイナリー」などもある。さらに朝日町にある、「マスカット・ベーリーA」を11月中旬に遅摘みする独自の栽培方法を導入した「朝日ワイン」、天童市に位置する、良質なブドウを一定の温度、湿度の土蔵で静かに醸す「天童ワイン」なども注目されている。
置賜エリアには、品質の高いブドウを使用し、日本ワインの中でも知名度が高い「高畠ワイナリー」、庄内エリアでは山形県庄内産のブドウを100%使用しワインを製造する「月山ワイン」など、個性的なワイナリーが点在している。
ブドウの実(シャルドネ)
山形産ワインのすばらしいところは、日本の固有品種からヨーロッパ系品種まで、多くの品種を栽培しているところだ。例えば白ワイン用であれば日本で開発された「デラウェア」や「ナイアガラ」のほかにも、ヨーロッパ品種の「シャルドネ」は全国1位の収穫量を誇る。赤ワインは、日本の「マスカット・ベーリーA」だけでなく、ヨーロッパの「カベルネソーヴィニヨン」「メルロー」「カベルネフラン」などの栽培も盛んだ。
ワインの貯蔵庫
山形産ワインは、「デラウェア」や「ナイアガラ」「マスカット・ベーリーA」のイメージが強いが、近年は、ヨーロッパ系品種のワインも高く評価されている。年々進化し、さまざまな味わいが楽しめる山形産ワイン。ワイン好きなら山形県へ。ワイナリーを訪れてテイスティングし、好みのワインを見つける旅がおすすめだ。