近江八幡の名店「ひさご寿し」とお守り作り体験

トラベル&ライフ 取材こぼれ話
2026年05月29日
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国内旅行
旅行記

2026年6-7月号『Travel&Life』の巻頭特集は『ぐるっと琵琶湖旅!』と題して、琵琶湖を一周するように大津、高島、長浜、そして近江八幡とそこから足を延ばして東近江の見どころや食のスポットなどを紹介した。
そのひとつが、近江八幡に昭和35年に創業した「ひさご寿し」。

暖簾をくぐって店に入ると、中央にはガラス張りの個室があり、その天井から下がるシャンデリアが目を引く。独特の薄い青みを帯びたガラスはかつて漁業で使われていた浮きを再利用したもの。窓際にはテーブル席もあり、開放的でカジュアルな雰囲気が漂う。寿司店から連想する"入りにくさ"はなく、親しみやすい。

瓢箪をあしらった白地の暖簾が黒い壁に映える 瓢箪をあしらった白地の暖簾が黒い壁に映える

浮きのシャンデリアが目を引く店内 浮きのシャンデリアが目を引く店内

「女性だけでも入りやすいことを意識し、テーブル席を設けることにこだわりました」と話すのは、店主であり、料理長の川西豪志さん。
「人口8万人の街なので、0歳からでも来てもらうことが大事。実際に0歳から来ていると、4、5歳ぐらいには何の屈託もなくカウンター席に座っています。子どもの頃から家族と一緒に楽しんで食事をする経験はあったほうがいいですし、それがひいては食文化を次世代へ繋げることになると思うんです」と続けた。

川西豪志さん。おいしさの追求を怠らない 川西豪志さん。おいしさの追求を怠らない

メニューは一品料理や寿司など多彩だ。本誌で取り上げたのは、琵琶湖の固有種のひとつ、ビワマスで作る「びわます棒寿し」。昔ながらの鯖の棒寿しの工程を踏まえつつ、時代の変化に合わせて新たな食材を取り入れ、ひと工夫を加えた一品だ。その食材というのはタマネギで、明治以降に日本に入ってきたタマネギはいわば"新しい食材"。それを甘酢漬けにして刻んで入れることで、味わいに爽やかなアクセントをつけている。
このほか、琵琶湖で獲れたスジエビ、スゴモロコのすり身が入ったカステラのような玉子の握り「琵琶湖の玉子1個」、郷土料理の「鮒ずし」など、滋賀ならではの食を楽しめるメニューが揃う。

数あるメニューの中でも、地元の人たちに愛されているのが「特選ひさご巻」。直径が10cmはあるのではというほどの太巻きで、中にマグロ、イカ、サーモン、タコなどの海鮮と高野豆腐、特製玉子など14種のネタが入り、彩りも華やかでボリュームも満点の一品だ。

「びわます棒寿し」
「びわます棒寿し」

「特選ひさご巻」
「特選ひさご巻」

「昔の巻き寿司のネタといえば、かんぴょうと高野豆腐とシイタケ、三つ葉くらいで、玉子すら入らず精進料理のようでした。それをもう少しおいしくしたいと思い、エビを入れたり、マグロを入れたりしていたらどんどんネタが増えて海鮮巻きのようになったんです。1993年からずっと出ています」と川西さんは笑う。
食する人を想い、時代に合わせておいしさに磨きをかける―。だからこそ、長く愛され食べ継がれている。

世界でたったひとつのお守り作りを体験

滋賀県では、新たな旅のスタイル「シガリズム」を提案している。これは、琵琶湖をはじめとした自然と歩みを揃え、ゆっくり、丁寧に暮らしてきた滋賀の時間の流れを体感して心のリズムを整えるというもので、さまざまな体験プランを用意している。そのひとつが、『祈りを込めた世界にたった一つだけの「お守り」制作体験』。向かったのは、東近江市にある「太郎坊宮」。正式名称を「阿賀神社」といい、創建は約1400年前と伝わり、勝利と幸福を授ける神様として信仰を集めている。

山の中腹に立つ「太郎坊宮」 山の中腹に立つ「太郎坊宮」

制作に取り掛かる前にまず邪気を払ってもらう。その後、お守りの歴史や成り立ちなどの話を聞き、お守りがより身近になったところで、お守りの袋と結び紐を選ぶ。袋に紐を通したら、その中に願い事を書いた紙と一緒に夫婦岩の欠片を納める。夫婦岩は本殿の前にそびえる大岩で、この欠片を持つ者は万難を除き、諸願成就すると伝わる貴重なもの。それらを袋に納めて紐を結び、形を整えたらお守りは完成だ。

袋も紐も多彩で、選ぶのに迷ってしまう
袋も紐も多彩で、選ぶのに迷ってしまう

袋も紐も多彩で、選ぶのに迷ってしまう

最後に抹茶をいただくのだが、抹茶の緑が映える黒の天目茶碗は約800年前のもの。夫婦岩の欠片を納められるのも、歴史ある器で抹茶がいただけるのも、「シガリズム」ならではの特典だ。

完成したお守り
完成したお守り

抹茶で一服して体験を締めくくる
抹茶で一服して体験を締めくくる

体験後、200段ほどの階段を上り、夫婦岩に向かった。というのも、お守り作り体験の手ほどきをしてくれた松井佑一主幹が夫婦岩について「はるか昔、自分の居場所を求められた当神社の神様が、大きな岩を 2つに割って通り抜けられたといいます。その岩が夫婦岩で2つの岩の間の道は、神様のお通りになった後の道といわれ、聖なる場所となっています」と話されたからだ。

神様がお通りになったといわれる道 神様がお通りになったといわれる道

夫婦岩は高さが十数mもある巨石で、目の当たりにすると畏敬の念に打たれた。2つの岩の間は幅80cmほど。ここを神様も通ったと思うと一層身が引き締まる。こうしてこの地を訪れる機会を得たことに感謝をしながら通り抜けると展望台があり、穏やかな景色が広がっていた。

展望台

文=木村理恵子 写真=葛西亜理沙 取材協力=公益社団法人びわこビジターズビューロー

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