
世界で有名な岩というと、オーストラリアのウルル(エアーズロック)を思い浮かべる人が多いと思います。そして、ウルルが世界で一番大きな岩で、かつ世界で一番古い岩だと思っている人も多いのではないのでしょうか。
しかし、それは事実ではありません。ウルルよりも大きな岩が、更に古い岩が、西オーストラリア州にあります。西オーストラリア州は、世界的に見ても地質が最古級に古く、そのうえ乾燥した気候が岩肌を露出させたままにさせているので、古くて大きく、珍しい岩がたくさん存在するのです。
ウルルとの違いは大きさや古さだけでなく、登れるというのがポイントです。標高は約1,100mあり、往復12kmのトレイルがあります。岩といえども草木が生えており、山のようです。
これから紹介する岩も、すべて登ることができます。
西オーストラリア州のアイコン的存在なのが、パースから東に約350km先にあるウェーブロックです。その名の通り波のような形をしており、その波形は高さ15m、長さ110mと圧巻です。
この独特の形は天候による浸食で作られたもので、縞模様は岩のミネラルが雨水に流されてできたものです。現在の形になるまでに約27億年の年月がかかったとされており、そして現在でも浸食は続いています。
岩登りに関しては、そんなに高くないのでハイキングという感じではありません。そのかわり岩底に沿って約1kmのハイキングトレイルがあり、その先には面白い形をした岩があります。これはヒッポ(カバ)がヤーン(あくび)をしているように見えることから、ヒッポヤーンと呼ばれています。
ウェーブロックとして有名な岩ですが、あまり知られていない事実が2つあります。
ひとつは名称で、実は岩自体の正式名称はハイデンロックといいます。岩の一部が波の形をしていることで有名になり、通称であるウェーブロックが一般に使われているのです。
もうひとつは、岩自体が貯水システムになっていること。詳しくは次の岩で紹介します。
岩の貯水システムとして注目すべきなのが、パースから北東に約350km先の穀倉地帯にあるベリンブーディングロックです。底面積が10ヘクタールほどで高さ30mなので、傾斜が緩く登りやすいです。この岩を登ると、どこまでも続く低い塀が見えます。
これは雨水を溜めるための雨樋の役割をしており、この塀の先には大きなコンクリートの貯水タンクがあるのです。塀に囲まれた貯水可能エリアが約7ヘクタールで、このタンクには約1000万リットルの貯水能力があり、このような岩による貯水システムとしては、オーストラリアで最大のものになります。
水が豊かな日本で暮らしていると、岩を流れる雨水を貯水することに疑問があるかもしれませんが、このエリアは年間降水量が300mlと非常に乾燥しており、地下水には塩分が含まれているため雨水がとても貴重なのです。
先のウェーブロックにも同じような貯水システムがあります。どちらの岩でも、現在は住民の生活用水としては使われておらず、農業の非常用水として貯められています。
最後に紹介するのが、先住民アボリジナルによる壁画アートが見られるワルガロックで、先ほどのベリンブーディングロックから更に北に約500km先にあります。
この岩は長さ約1.5km、周囲が約5kmと大きく、オーストラリアで2番目に大きな一枚岩だそうです。 約6万年の歴史を持つアボリジナルは文字を持たず、絵や音楽で歴史や物語を次世代に伝承してきたと言われています。その絵は岩に描かれ、雨風を凌いでこられた洞窟などで発見されてきました。ワルガロックでは岩のくぼみを中心に、およそ1,000個の絵が、100mに連なっている様子を見ることができます。
全ては紹介できませんでしたが、このように西オーストラリア州には個性豊かな巨岩がたくさんあり、登ったり間近で観察したりできるのです。
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