秋月城跡 写真提供:朝倉市商工観光課
秋月城跡 写真提供:朝倉市商工観光課

福岡 秋月で楽しむ紅葉

季節を感じる日本の旅
2025年10月31日
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国内旅行
旅行記

毎年11月下旬になると、周辺に植えられた約20本のカエデが真っ赤に色づく福岡県朝倉市・秋月城跡の黒門。今もなお江戸時代の面影を残す秋月城跡では、タイムスリップしたかのような歴史散歩が楽しめる。

黒門 黒門 写真提供:朝倉市商工観光課

福岡県朝倉市に位置する秋月は古処山の麓、三方を山に囲まれ南に開けた盆地にある。その歴史は鎌倉時代にまで遡り、秋月種雄が古処山に古処山城(秋月城)を築城したことに由来する。天正15年(1587年)には、九州征伐を始めた豊臣秀吉に敗れ、廃城。
元和9年(1623年)、福岡藩主黒田長政公の遺言により、三男長興に5万石が分与されて福岡藩の支藩、秋月藩が成立し、翌年、長興が秋月城を作り居城した。種雄が古処山山麓に造った秋月氏宅所(杉本城)跡地を利用し、築城の際は廃材なども使用して建てられたと言われている。

目鏡橋 目鏡橋 写真提供:朝倉市商工観光課

長屋門
長屋門 写真提供:朝倉市商工観光課

瓦坂
瓦坂 写真提供:朝倉市商工観光課

紅葉の名所として知られる黒門はかつて大手門として瓦坂の奥に建てられていたが、現在は垂裕(すいよう)神社の参道に移築された。黒門と赤く染まったカエデのコントラストがすばらしいと多くの人がカメラを構える絶景スポットだ。
その他にも、名君といわれる八代藩主黒田長舒(くろだ ながのぶ)によって作られた目鏡橋のほか、当初の位置に残る唯一の史跡である通用門の長屋門、秋月のメインストリート・杉の馬場にある石組の瓦坂など、1年を通じて楽しめる見どころが点在している。

秋月中学校 秋月中学校 写真提供:福岡県観光連盟

なかでも、秋月のシンボルとなっているのが秋月中学校だ。秋月城は陣屋形式の小さな城で、城内は表御殿(役所)と奥御殿(藩主の生活の場)に分かれていたが、表御殿には戦後まもなくの頃に秋月中学校を建築。趣のある木造校舎には現在も中学生が通っている。

垂裕神社へ続く参道 垂裕神社へ続く参道 写真提供:朝倉市商工観光課

明治維新後、秋月城は廃城となったが、跡地には黒田長興を祀った垂裕神社が造られた。また、城の西辺に残る水堀、櫓台石垣、城門、土橋などは残り、昭和36年(1961年)には、長屋門と本門が県指定有形文化財(建造物)に、昭和55年(1980年)には、秋月城跡として、県の史跡に指定された。さらに、秋月では旧城下町の基本構造が当時のまま利用されていることから、秋月重要伝統的建造物群保存地区にも指定され、城下町の歴史的景観を今に伝えている。

野鳥川沿いの小道 寅さんロード 野鳥川沿いの小道 寅さんロード 写真提供:朝倉市商工観光課

2025年11月22日・23日には、「第5回あさくら祭り」が行われる。これは、さまざまなステージイベントが開催されるほか、屋台なども並ぶ朝倉市最大の市民祭りだ。今年は朝倉市制施行20周年を記念して、ギネス世界記録™「最も長い乾杯リレー」に挑戦。朝倉市の豊かな水を生かした飲料で2,000人の乾杯を目指している。
紅葉を楽しみ、地元の人たちと歴史的瞬間にも立ち会える2025年の秋。今年はぜひ、筑前の小京都と呼ばれる秋月を訪れてみたい。

※掲載の情報は変更となる場合があります。

協力=朝倉市商工観光課 文=磯崎比呂美
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