大高森(壮観) 写真提供=宮城県観光戦略課
大高森(壮観) 写真提供=宮城県観光戦略課

日本三景、新たな松島

にほん再発見の旅
2025年09月16日
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国内旅行
旅行記

松島湾に点々と浮かぶ260もの島々。松島の美しさは丹後天橋立や安芸の宮島と並び、日本三景の一つとして知られている。かつては、松尾芭蕉が賞賛し、歴代の仙台藩主も訪れたという日本を代表する景勝地だ。
松島の絶景を楽しむには陸からと海からの2通りの方法がある。陸からならば、松島湾周辺の松島丘陵や島の高台に位置する松島四大観(まつしましだいかん)がおすすめだ。

富山(麗観)写真提供=宮城県観光戦略課 富山(麗観)写真提供=宮城県観光戦略課

松島四大観には、景色の特長によりそれぞれ名前が付けられている。大高森(壮観)は、宮戸島(東松島市)のほぼ中央に位置し、標高は約106m。四方を遮るものがなく、奥松島の島々、その向こうに奥羽山脈の舟形山が広がるダイナミックな眺望が楽しめる。富山(麗観)は、松島町に位置する標高約117mの小高い山だ。山頂からは、松島湾全景を正面から一望でき、古くから有名な景勝地として知られている。

扇谷(幽観) 写真提供=松島観光協会 扇谷(幽観) 写真提供=松島観光協会

多聞山(偉観) 写真提供=松島観光協会 多聞山(偉観) 写真提供=松島観光協会

扇谷(幽観)は松島町と利府町の境目にある双観山の後ろに位置し、山頂から西側を望む松島湾の入江が扇のように見えることからその名がついたといわれる。多聞山(偉観)は七ヶ浜町(しちがはままち)に位置する、標高約56mの低山だ。頂上にある毘沙門堂の裏から望む景色が素晴らしく、眼下には松島の島々を背景に、 塩釜港に出入りする大小の船舶の往来を一望できる。
松島四大観は、松島の観光エリアからは少し離れているが、ゆっくりと落ち着いて絶景を存分に楽しむことができる。

仁王島 写真提供=宮城県観光戦略課 仁王島 写真提供=宮城県観光戦略課

鐘島 写真提供=宮城県観光戦略課 鐘島 写真提供=宮城県観光戦略課

一方、海から松島を楽しむには、観光船を利用したい。松島湾巡り遊覧船の全長約17kmの航路を約50分で周遊する仁王丸コースでは、その姿が仁王像に似ていることからその名がついた仁王島、島に4つの空洞があり、波が打ち寄せると寺鐘のように聞こえることから名付けられた鐘島をはじめ、縄文時代の遺跡が発見された舟入島、今も人々が暮らしている桂島と野々島など、海岸からでは見ることのできない島々や風景を楽しむことができる。遊覧船には、松島から塩釜へ周遊する芭蕉コースなどもあるので時間や目的に合わせて、コースを選ぶといいだろう。

五大堂 写真提供=宮城県観光戦略課 五大堂 写真提供=宮城県観光戦略課

平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災により、松島も多大な被害を受けた。けれども松島湾の島々によって、奇跡的に壊滅を免れることができたという。あれから10年以上が経った今、着実に復興への歩みを進めている松島。松尾芭蕉や伊達政宗公が愛した絶景はそのままに、歴史探訪やグルメなど魅力溢れる、新たな魅力を放つ松島へ、頑張る人達の笑顔に会いに出かけてみたい。

かき小屋 写真提供=松島観光協会 かき小屋 写真提供=松島観光協会

協力=松島観光協会 文=磯崎比呂美
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