アイスランドの編み物「ロパペイサ」に触れる

海外現地ライター便り
2025年08月08日
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最近では日本でもノルディック柄のセーターをよく見かけるようになりました。「ノルディック」とは「北欧の」という意味合いがあり、北欧の島国アイスランドでも暮らす上で欠かせない必須アイテムです。今回紹介するのは「ロパペイサ」と呼ばれる100%アイスランド原産のセーターです。

アイスランドと羊、アイスランドと編み物

夏の放牧された羊たちは、崖や険しい道も難なく歩く 夏の放牧された羊たちは、崖や険しい道も難なく歩く

アイスランドの羊は、「アイスランディックシープ」と呼ばれ、国全体で大切に守られています。

秋になると一斉に元の場所に集められる 秋になると一斉に元の場所に集められる

バイキング時代からの大切な家畜であり、以来アイスランドの人々の生活に深く関わってきました。そして羊毛は大切な防寒具として昔から重宝され、編み物文化も共に発展してきました。

アイスランド人は必ずといっていいほどロパペイサを持っています。アウトドアの時や、肌寒いときにセーターをさっと着て完了!一年を通して重宝します。ロパペイサの特徴は、何より保温性に優れていて丈夫なこと!良いものだと40年は持つそうです。

私も義母に教えてもらいながら靴下を編みました 私も義母に教えてもらいながら靴下を編みました


アイスランド手編み協会

アイスランドの手編み文化を確かなものにしたのが、「アイスランド手編み協会(The Handknitting Association of Iceland)」です。100%アイスランド産の毛糸から衣類を編んで販売すること、そして収入を増やすことを目的として1977年に地元の人々(主に女性)によって設立されました。

レイキャビクダウンタウンにあるお店

レイキャビクダウンタウンにあるお店

レイキャビクダウンタウンにあるこちらのお店は、協会設立当初の場所にあり、今日まで高品質のロパペイサを販売している、まさに編み物専門店です。今回は、店長のヘルガさんに、アイスランドの毛糸について、そしてロパペイサについてのお話を聞きました。

伝統的なロパペイサ

「ロパペイサ(Lopapeysa)」とは、ロピ(=紡績のされていないウールのタイプ)とペイサ(=セーター)というアイスランド語で、文字通り紡績工程を経ずに直接編まれたセーターのことです。

同じロピでもこれだけの種類がある。耐久性や風合いで使う糸を変えるそう 同じロピでもこれだけの種類がある。耐久性や風合いで使う糸を変えるそう

シルクやアルパカ、メリノウールで編まれたセーターなどはソフトな肌触りで知られていますが、ロパペイサは少しかためな印象です。ただ、さまざまな種類の毛糸があり、使用する毛糸によって肌触りや風合いをデザインできるようです。ここは経験のみが成せる技であり職人技です。

ロピ+シルク、ロピ+アルパカというブレンドの毛糸もある ロピ+シルク、ロピ+アルパカというブレンドの毛糸もある

作っている途中のセーターを見せてくれた。まさに手仕事というより指仕事 作っている途中のセーターを見せてくれた。まさに手仕事というより指仕事

ロパペイサはデザインも様々ですが、伝統的なのは肩回りに大きく波打つような幾何学模様が何重にも施されているもの。また色も自然の羊毛の色に近いグレーや白を使って編まれたセーターや、青や赤などの色に染色されたものなど実に幅広くデザインされていて、自分にあったものを決めるのにも迷ってしまいそうです。

ロパペイサ

ここで販売されている編み物の商品は、協会に登録されている職人(国内300人が活動されているそう!)によって作られたもので、さらに、その中でも厳しい検品に通ったもののみが、店頭に置かれています。
今回お話を聞かせてくれたヘルガさんも、自身が編み手の一人であり、お店の運営側でもあるので、納品された商品の検品もされています。その際は、裏地や編み目の美しさにまでこだわり、少しでもアラがあると編み手に修正してもらうそうです。このような徹底された品質管理のもとで、高品質なロパペイサの販売を維持しています。

サイズ感のちょっとした調整や、もっとこだわりたい方用のカスタマイズなども可能だそうで、作り手と買い手の距離の近さは、日本の手仕事文化と通じる部分を感じました。

セーターだけでなく、ミトンや帽子なども

もちろんセーターだけでなく、ミトンや帽子なども取り扱っています。また、小規模の会社や職人をサポートすることにも力を注いでいて、店内では編み物だけではなく、フエルト商品や小さなハンドメイドのものまで販売されています。

私は今回の取材で、さらに編み物に興味を持ちました。作りかけの靴下も再開する日が近い気がします。レイキャビクに来た際はぜひ覗いてみてくださいね!

アイスランドの家族にそれぞれのロパペイサを着てもらった アイスランドの家族にそれぞれのロパペイサを着てもらった


The Handknitting Association of Iceland
住所:Skólavörðurstígur 19
営業時間:月~金 09:00-19:00 / 土 09:00-17:00 / 日 10:00-17:00

※掲載の情報は変更となる場合があります。

文・写真=mimi
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