日光天然氷を使用したかき氷 写真提供:四代目徳次郎
日光天然氷を使用したかき氷 写真提供:四代目徳次郎

日光天然氷のかき氷

季節を感じる日本の旅
2025年07月31日
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国内旅行
旅行記

夏といえば、かき氷。ひんやりと冷たいスイーツはたくさんあるが、かき氷は気温が高くなればなるほど人気が高まるといわれている。最近は、イチゴやメロンなどの定番に加え、さまざまな味わいのかき氷があり、夏だけでなく1年中楽しむ人も増えている。また、材料となる氷にもこだわり、天然氷を使用する店も増えている。

氷上掃除 氷上掃除 写真提供:四代目徳次郎

かき氷では、天然氷または純氷が使用される。天然氷とは、湧水などを採氷池に入れ自然の寒さでゆっくりと時間をかけて作った氷のこと。一方、製氷工場で作られた氷は純氷と呼ばれている。
天然氷の歴史は長く、奈良時代には氷室があったといわれる。明治維新後には、アメリカの天然氷が輸入されていたが、とても高価で庶民はなかなか口にできるものではなかった。そこで中川嘉兵衛は、五稜郭(北海道函館市)の濠にできた天然氷を切り出し「函館氷」として販売。その後、全国的に天然氷を作る氷室が増えていった。

切り出し作業 切り出し作業 写真提供:松月氷室

けれども明治20年代に製氷機が普及すると、100軒ほどあった氷室は徐々に減少していった。さらに近年は温暖化などの影響で生産が難しくなり、全国で5軒が残るだけになった。そのうちの3軒は栃木県日光市にあり、「松月氷室」「三ツ星氷室」「四代目徳次郎」が、昔ながらの方法で現在も天然氷を生産している。
日光では、多い時で10軒ほどの氷室があったといわれている。というのも日光連山から湧き出る清らかな水、気温が低く、雪が少ないという気候が天然氷づくりに適しているからだ。

切り出した氷 切り出した氷 写真提供:四代目徳次郎

天然氷作りは、秋も深まった頃からスタートする。採氷池を掃除し、底の土を耕して土を作り、12月中旬になってから雨や雪が降らず、適度な気温の日を見計らって水を引き入れる。氷が張り始めたら、雪にちりやほこりを吸わせるために氷の上に雪を撒いて氷上掃除を行う。氷は1日に1cmほど、2週間~20日ほどかけて成長するが、その間に、落ち葉を取り除き、品質が落ちれば氷は割ってやり直しをするなど、大変な手間と時間がかかる。そして氷の約15cmができあがると切り出し、おがくずをかけて氷室で保存する。

透明度の高い日光天然氷 透明度の高い日光天然氷 写真提供:松月氷室

ゆっくりと凍らせることで完成した天然氷は、不純物を含まず、限りなくH2Oに近い。無色透明、無味無臭で、硬く溶けにくいのが特徴だ。薄く削ることができるので、ふんわりとした食感を楽しむことができる。

生いちごプレミアム、メロメロメロン 生いちごプレミアム、メロメロメロン 写真提供:松月氷室

スイカかき氷、ピスタチオベリー スイカかき氷、ピスタチオベリー 写真提供:松月氷室

人工の氷は-10℃でも溶け出すのに対し、天然氷は-4℃ほどまで温度を上げても削ることが可能。そのため、喉を急激に冷やすことで起こるキーンという頭痛が起きず、最後までおいしくかき氷を味わうことができる。

いちご あずきみるく いちご あずきみるく 写真提供:四代目徳次郎

日光にある3つの蔵元では、日光周辺のカフェやホテル、お店へ卸しており、それぞれが独自のかき氷を販売している。また、「松月氷室」や「四代目徳次郎」の天然氷は蔵元の直営店で楽しめるのでぜひ足を運んでみたい。蔵元の違うかき氷の食べ比べをしてみるのも楽しいだろう。年々厳しくなっている夏。今年の夏休みは日光で観光を楽しみながら、絶品かき氷を味わってみたい。

協力=松月氷室、四代目徳次郎  文=磯崎比呂美
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