
オーストラリア人はキャンプが大好き!一口にキャンプといっても色んなタイプがありますが、ここ数年は農場などの私有地の一部をキャンプ場として開放する「ファームステイ」が流行り、今では「ステーションステイ」という言葉も耳にするようになりました。これらのステイ先によっては、キャンプ道具を持っていない旅行者でも気軽に滞在できるものがあります。
行く前に「ステーション」について理解しておくと、その滞在が何倍も楽しくなるはず。ステーションとは巨大な農場のことをいいますが、一般の農場と違うのはその広さです。小さくても10万ヘクタールあり、その広さは東京都の半分に相当します。電気や水道などのインフラが整っていない僻地にあり、そもそも水源が乏しいことから、農地で作物を育てるのではなく、牛や羊の放牧がされています。しかし、その広さを考えると、ほとんど野生に近い状態です。
そんな環境で家畜を管理するためには、泊まりで数日間かけて家畜を探しに行くこともあります。今でこそヘリコプターやドローンがありますが、ステーションはそのようなものがない時代から存在しており、分かりやすくいうとウェスタン映画のような世界。そんなカウボーイのような、質素でちょっとワイルドな雰囲気を現在でも味わえる場所がステーションなのです。
ステーションの一部をキャンプ場として開放しているところに泊まることをステーションステイといい、ステーションによっては泊まれるコテージがあるのです。
ナランステーション(Nallan Station)は州都パースから北に650kmほど先の内陸にあります。
敷地面積約10万ヘクタール、180年の歴史を持つステーションです。初期から150年間は羊の放牧をしていましたが、野犬被害と羊毛価格下落によって1997年からは小規模な牛の放牧をしています。それとあわせて、今ではキャンプ場や古い建物を改装して、宿泊業もしているのです。
ナランステーションのキャンプ以外での宿泊施設としては、築120年の『Shearer's Quarters』という、かつて羊の毛刈り職人が生活していた部屋を改装したものがあります。
見た目は古い建物ですが、しっかり補強されており、中はモダンでエアコン完備。ただし、トイレ、シャワー、キッチンはキャンプ客とシェアになりますが、これがステーションならではの体験になるのです。なぜなら、ナランステーションには電気も水道もガスも通っていません。電気は日中にジェネレーターで自家発電をして、夜は蓄電池に貯めたものを使っています。水は雨水や地下水ですが、降水量が少ないのでとても貴重です。給湯器とキッチンのガスコンロにプロパンガスが使われています。つまり、全てのものに限りがあるのです。
だからといってせせこましく過ごすわけではなく、限りある資源に感謝しながら、他の人とシェアすることを意識して大らかに過ごすのがオーストラリアスタイル。屋外キッチンでは他の滞在客やオーナーと顔を合わせることも多く、団欒を楽しめます。
また、放牧エリアを車でセルフガイドにて探索することもできます。約70kmのルートが用意されており、道中には放牧中の牛や野生動物が現れたり、独特の地形が見られたりとオーストラリア内陸部ならではの魅力が味わえるのです。
宿泊施設から徒歩圏内には鶏や羊、豚なども飼われており、餌やりをすることもできるので小さな子ども連れでも楽しめます。そしてなんと、コーギーのブリーダーもしているため、滞在中は可愛らしいコーギーたちがそこかしこを歩いています。犬好きにはたまりません!
ステーションは西オーストラリア州だけでも500ケ所以上あります。そのうちのどれだけが宿泊施設を備えているのかは分かりませんが、『Station Stay Australia』で検索すると色々出てくるので、オーストラリアらしい滞在を楽しみたい方におすすめです。