
トラベル&ライフ2025年4-5月号の巻頭特集では「歴史をたどり、名物を味わう 大阪さんぽ」と題して、4月に開幕する万博の開催地として注目を集める大阪市で大阪城を訪ね、大大阪時代の繁栄を物語る建築さんぽを楽しみ、大阪ならではの"おいしいもの"を堪能する旅を紹介した。
食い倒れの街にふさわしい大阪の食として取り上げたのが、鯨料理。大阪はかつて日本を代表する鯨肉の集散地であったこともあり、鯨は庶民の味として親しまれていた。その鯨料理の名店として知られているのが、「美肴&美酒 むらさき」。
名物の「はりはり鍋」は刺身用の鯨肉で水菜を巻いて、カツオと昆布をベースにショウガをたっぷり入れた特製ダシにくぐらせていただく同店のオリジナル料理だ。
「創業したのが昭和27年と鯨料理店としては後発なので、何か目を引くものをと思って考えたんです」と話すのは、2代目店主の今川義雄さん。鯨の模型を手にしながら、鯨肉の部位や栄養価などについても楽しく、わかりやすく教えてくれる。
ヒゲのある鯨の説明用のグッズ
はりしゃぶ鍋は、1杯めはアツアツの特製のダシをかけて"逆しゃぶ"を味わい、2杯めは"しゃぶしゃぶ"で味わう。鯨は臭みが全くなく、食感は牛肉を思わせる。水菜のシャキシャキ感が楽しく、特製のダシもまた味わい深い。
ほかにも鯨の刺身やステーキ、鯨カツ、竜田揚げなど、鯨肉を味わえるメニューが揃い、本格的な鯨料理を味わい鯨肉の奥深さを体験できる。
鯨の刺身の盛り合わせ
鯨のステーキ
大阪のグルメで欠かせないのが串揚げ。「串揚げ専門店 健串」は、定番はもちろん、趣向を凝らした串揚げが楽しめる創作串揚げの人気店。今やお店の"顔"ともなった「麻婆豆腐」や「ハンバーガー」は、"映え"で注目されているが、人気の秘密はもちろんその見た目だけではない。
例えば「麻婆豆腐」は、キツネ色にあげた豆腐に手作りの麻婆味噌とチーズをのせてバーナーで炙り、青ネギと糸唐辛子をトッピングし、餃子の皮を揚げて作った器に出すという具合に、ひと手間もふた手間もかけている。1本の串揚げに惜しげなくアイデアと工夫が凝らされているのだ。
パン粉はきめ細かな生パン粉2種類をブレンドしたものを使用し、揚げ油もラードとヘッドなどを調合。素材の火の通り具合によって、纏わせるパン粉の量を加減する。そのため、パン粉をつける前に素材に纏わせる卵や小麦粉を水で溶いたバッター液の量が大事だと店長の殿井健史郎さんは話す。
店にはテーブル席や個室もあるが、1本1本が出来上がるまでを間近で見ることができるカウンター席がおすすめ。ワインも充実しているので、グラスを傾けながら次はどんな串揚げが出てくるのか胸を躍らせながら待つのもまた楽しい。