
今日ではフランス、ベルギー、ドイツに囲まれる小国ルクセンブルクですが、歴史的に他国からの侵略を防ぐため、数多くの要塞と城がそびえ立ちます。その多くは中世に建てられているものの、きちんと整備がされ、現在でも当時の様子を伺うことができます。7つの城を巡る25kmのハイキングコースなども整備されており、古城見学はルクセンブルクで最も人気な観光アクティビティの一つです。
今回は数あるルクセンブルクの古城の中で最も有名なVianden(ヴィアンデン)城と最大のBourscheid(ボーシェイド)城をご紹介します。
ヴィアンデン城は世界の名城21選にも選ばれたことのある、ローマンゴシックスタイルの古城です。ルクセンブルク中央駅からEttelbruck(エッテルブルック)駅もしくはDiekirch(ダーキッシュ)駅へ電車で移動し、そこからバスでヴィアンデン城の麓まで移動できます。
城は丘の上にそびえ立つので、歩きやすい靴で行くのがオススメです。この城は11~14世紀にヴィアンデン伯によって築かれました。ヴィアンデン伯は東ローマ帝国を含め、ハンガリーやフランスの王家とも親戚だった有名貴族でしたが、19世紀にはオラニエ・ナッサウ家(現在のオランダ王家で、ルクセンブルク大公家はその分家)の支配下となりました。1977年にルクセンブルク公国に国有化されてから修復が施され、現在では博物館を含む一大観光地になっています。
入場の際にはオーディオガイドも準備されており、日本語も選択できます。入り口にはカフェのほか、中世の装飾品などのお土産屋台が並びます。
毎年8月には大規模な中世祭も行われ、当時のコスチュームや料理の体験や、音楽の演奏も行われます。また、ヴィアンデンの町には、ルクセンブルク唯一のケーブルカー(実際には、スキーのリフトのようなもの)もあり、ヴィアンデンの街を一望できます。また、「レ・ミゼラブル」で有名な文豪ヴィクトル・ユーゴーの滞在した家が博物館となって残っており、併せて訪問するのもオススメです。
ボーシェイド城はルクセンブルクで最大の城かつ最も標高の高い場所に立つ城です。ルクセンブルク中央駅からMichelau(ミシェラウ)駅まで電車で行き、そこから2kmほど歩くか、Ettelbuck(エッテルブルック)駅まで行きバスに乗り替えて15分程で城までアクセスできます。どちらのルートでも1時間ほどで到着します。
この城は10世紀頃に建てられたと推測されていますが、14~15世紀に増改築が施され、その際に8つのゴシック塔とともに要塞の機能が備わり、最終的な面積は12,000m²にまで拡大しました。
当時の領主であったボーシェイド伯爵は、ルクセンブルク大公の家臣でした。19世紀に入りフランス革命の影響を受けたルクセンブルクで封建制度が終わると、ボーシェイド城を管理する人は消え、廃墟となってしまいました。その後、1972年に国有化され大規模な修復と発掘作業が行われました。
初期に建てられたローマンゴシックスタイルの部分は、当時の領主の居住スペースであったとみられ、キッチン、書斎、居間などがみられます。1384年に建てられた居住専用の建物は、現在では博物館となっていて、ボーシェイド城とボーシェイド家の歴史が展示されています。
夜にはイルミネーションが灯され、まるでおとぎ話のお城のよう。城の上からはSûre(スール)川渓谷や近隣の村々も展望できます。
ルクセンブルクには、なんと130以上の城がありますが、その中でも公共交通機関で簡単にアクセスできる2つのお城を紹介しました。中世の空気が今でも漂うロマンチックな古城に、ぜひ足を運んでみてください。