
まだ雪が残る山々をバックに桃の花が咲き誇り、一面がピンク色に染まる。青い空とのコントラストも素晴らしい。桃の木の数はなんと約25万本。春になるとこの圧巻の風景を一目見ようと山梨県笛吹市には県内外から多くの人が訪れる。
満開の桃の花
桃の生産量が全国一といわれる山梨県ではおよそ200年前から桃の栽培が行われ、各地で新品種が開発されてきた。中でも笛吹市は、肥沃で水はけのよい土壌があり、日照時間が長い、さらに昼夜の気温差が大きいなど、果物の栽培に適した条件が揃い、独自に発展。現在では、なんと年間2万3,000tもの桃が収穫される「日本一の桃の産地」となっている。
笛吹市では、平成17年(2005年)10月「桃・ぶどう日本一の郷」を宣言。平成25年(2013年)には、市内の桃畑の作付け面積が全国の14%と日本一を誇ることから「日本一桃源郷」を宣言した。また、桃の花が咲き誇り、元日から100日目にあたる「百=もも」にちなんで、4月10日を「桃源郷の日」に決定した。
御坂町黒駒地区で見られる桃と菜の花
笛吹市には、桃の花が咲き誇る甲府盆地を見下ろす絶景スポットが点在。中でも八代ふるさと公園は、桃色に色づいた甲府盆地と南アルプス連峰を見渡すことができ、開花時期に行われる「笛吹市桃源郷春まつり」のメイン会場にもなっている。時期が合えば桜と一緒に桃の花を楽しむことができ、華やかなにぎわいを見せる。また、標高が高く笛吹市周辺よりも一週間ほど遅れて桃の花が開花する一宮町花見台、桃の花の中をリニアが走る様子も見られる花鳥山展望台、桃の花と菜の花が同時に楽しめる御坂町黒駒地区などもあるので、ぜひ訪れてみたい。
水芭蕉の群生地
今年の「笛吹市桃源郷春まつり」は3月23日~4月20日に開催される。祭りを最初に彩るのは3月23日に藤垈の滝大窪いやしの杜公園で行われる「境川ミズバショウ春まつり」だ。これは、平成8年(1996年)に旧境川村と新潟県中条町(現在の胎内市)との姉妹都市交流協定が結ばれたことを記念して、中条町が町内に生息する水芭蕉を寄贈したもの。現在は、約3,000株の群生地となり、春の風物詩となっている。水芭蕉群生地の周辺には歩道橋が巡り、老樹の茂る林の中を散策しながら、日本一開花の早い水芭蕉の花を観賞できる。
桃の花を見ながらのウォーキング
2025年3月29日・30日には、「春満喫!桃源郷を歩こう!」を開催。これは、満開の桃の花を楽しみながら歩くウォーキングイベント。花鳥の里スポーツ広場をスタートし、約3.3km、約2.1km、約1.4kmという3つのコースがあるので、体力に合わせて挑戦できる。途中には樹齢300年以上の花鳥山一本杉、日本に一つしかないといわれる星石、樹齢約200年のしだれ桜やソメイヨシノ(福光園寺)といった見どころも点在し、春の日差しの中、気持ちのよいウォーキングが楽しめる。
甲府盆地と八ヶ岳
4月1日から20日までは、一宮地区の観光農園で電動自転車をレンタルし、桃の花の景観スポットや飲食店などを周遊する「桃の花とワイン香る 桃源郷ROUTE34ライド&ウォーク」が行われるなど、3月から4月にかけて笛吹市はさまざまなイベントで訪れる人をもてなしてくれる。
桃の花や菜の花、水芭蕉、桜などが咲き誇り春真っ盛りの笛吹市。イベントも盛りだくさんで、春の日差しの中思い思いの時間を楽しむことができる。
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