南米アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの街の片隅に「ボカ」という港町があります。19世紀半ば、ヨーロッパから戦争や貧困を逃れてやってきた移民船が到着した港です。雰囲気はやさぐれた場末の街。毎日の寂しさや辛さを癒すために酒場では男女がお酒を飲んで踊り、音楽が奏でられました。
暗く哀愁を感じる、そんな場所でタンゴは生まれたと言われています。そこからパリの社交界という華々しい場所でタンゴダンスは花開き、世界中に熱狂的なファンを増やしてアルゼンチンに戻ってきます。そして今や、ブエノスアイレスの街はタンゴの聖地であり、タンゴファンが一度は訪れたい、憧れの街でもあります。
タンゴの楽しみ方の一つ、まずはタンゴショーを観てみましょう。ブエノスアイレスの街では、至るところでタンゴショーが楽しめます。鍛え抜かれた若いダンサー達の踊るタンゴダンスは美しく、息つく間もない圧巻の時間を過ごせます。
ショーを観たい場合、多くのホテルでは受付で希望すれば、ホテルからの送迎付きのディナーショーが用意されています。ショーが開催される地域によっては、治安の悪い地域もあるため、自分で手配するよりホテルまでの送迎付きが一番安心です。
この街に根付いた本来のタンゴ文化とは、ショーで観るような若いダンサーの激しい踊りとは異なるものです。タンゴを楽しむ90歳のご婦人もしっかりした足取りで踊っています。「抱擁して一緒に歩く」をベースにしたタンゴは、年齢を重ねるほどに味わいが出て美しくなる踊りです。何歳になってからでも始められます。
本場で初めてのタンゴを経験することは、これからのあなたの人生の色を変えるかもしれません。
旅行のスケジュールに余裕があれば、当日でもトライできる方法を2つご紹介します。
1)タンゴレッスンを受ける
市内各所にあるタンゴスポットでは、初心者を対象としたタンゴレッスンも充実しています。靴がなくてもレッスンウェアがなくても動きやすい服装であれば参加可能です。
2)ミロンガに行く
本場の「ミロンガ」(タンゴダンスのパーティー)も体験できます。もちろん、踊れなくても問題ありません。席に座ってお酒を頂きながらミロンガの空気を感じることもミロンガの楽しみです。
ミロンガ開催の会場では、ミロンガ開催時間前にタンゴレッスンを開催している場合が多く、レッスンとミロンガのセット価格で割引しています。
ブエノスアイレスの街でタンゴに触れたならば、その思い出をタンゴシューズという形で持ち帰ってみてはいかがでしょうか。アルゼンチンは皮製品に定評があり、またその色彩感覚はとても豊かで繊細です。タンゴシューズの美しさは、部屋に飾っておくだけでもブエノスアイレスのノスタルジックな思い出に浸れることでしょう。
ぜひ本場ブエノスアイレスでタンゴの風を感じてみてくださいね。