

『ローマの休日』は、1953年製作のアメリカ映画で、公開から70年以上経った今も多くの人に愛される名作です。そのストーリーは、ヨーロッパのとある国のアン王女がローマを訪問中、滞在先からこっそり抜け出して、街中で出会った新聞記者のジョーとともに、束の間の休日を楽しむというものです。
映画の中には、トレヴィの泉、スペイン階段、真実の口など、ローマの名だたる観光スポットが登場するため、映画を観ているだけでローマの街を観光しているような気分になれるはず。また、ローマに行かれた方の中には、実際にロケ地巡りをした方もいらっしゃるのではないでしょうか。『ローマの休日』は70年以上前のモノクロ映画ですが、舞台となったローマの街は今も当時の姿とほとんど変わっていないことに驚かされます。その中でも今回は、少し穴場とも言えるロケ地であるコロンナ宮殿についてご紹介します。
コロンナ宮殿が登場するのは、映画のラストシーンです。アン王女がローマを発つ前に行われた記者会見のシーンが撮影されたのが、コロンナ宮殿の大広間、コロンナ・ギャラリーでした。アン王女と、記者として参加したジョー、きっと二度と会うことができないであろうふたりが無言で見つめ合うシーンはとにかく切なく、何度観ても涙を誘います。
コロンナ宮殿は、中世ローマで権力を持った貴族であるコロンナ家が所有する宮殿で、ローマにある個人所有の宮殿の中でもとりわけ大きく歴史あるものの一つです。現在もコロンナ家の子孫の方が住まれているということに驚きますが、イタリアにはそのような宮殿や邸宅が多く存在します。現在コロンナ宮殿の一部は美術館となっており、毎週金曜日と土曜日のみ一般公開されています。
入口から階段を登ると、小さな部屋の次に豪華絢爛な大広間、コロンナ・ギャラリーが現れます。映画の中でモノクロで見た場所をカラーで目にすることができ、大広間に足を踏み入れた瞬間、映画のシーンが色づいて甦ってくるようでした。
大広間の壁面は、コロンナ家のコレクションの絵画で埋め尽くされ、天井には美しいフレスコ画が描かれています。
実は、大広間の階段には鉄球がめり込んでいます。これは、1849年に市民が起こした革命を鎮圧しようとフランス軍が発射した砲弾だそうです。映画のシーンでは鉄球はカーペットでうまく隠されていたそうですが、こんな美しい空間に19世紀の激動のイタリア統一運動の傷跡が残されていたとは、複雑な思いに駆られました。
コロンナ宮殿には、コロンナ・ギャラリー以外にも部屋があり、コロンナ家のコレクションの絵画や彫刻が飾られています。中でもイタリア・バロック絵画の巨匠アンニーバレ・カラッチが描いた絵画『豆を食べる男』は、当時の庶民の日常をありのままに描いた作品として有名です。
また、イザベッラ王女が生前に過ごしていたままの状態に保たれたアパルトマン(居住区)もあり、ここでどのような生活を送られていたのか、そして今もこの宮殿に住まう一族の暮らしに思いを馳せることができます。
コロンナ宮殿は、地下鉄Barberini駅から徒歩12分ほどです。見学には事前予約が必要ですが、金曜日と土曜日にローマに滞在できる方はぜひ行ってみてください。トレヴィの泉から徒歩5分ほどと近いので、一緒に訪れてみてもいいかもしれません。また、その他のロケ地も、実際に訪れてみるときっと数々の名シーンが甦ってくるかと思いますので、ローマに行く機会があればぜひ、アン王女とジョーの足取りをたどってみてはいかがでしょうか。
※コロンナ宮殿の公式サイトは日本語でも見ることができ、そちらから予約も可能です。
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