自然豊かな「フィッツジェラルドリバー国立公園」

海外現地ライター便り
2025年09月16日
カテゴリー
海外旅行
旅行記
現在オーストラリアには、約680の国立公園があります。国立公園の主な役割は、固有種や絶滅危惧種の保護と先住民の文化的価値を守ることであり、そして環境破壊の影響を最小限に抑えることです。そのため、国立公園内に先住民以外が住んでいることはなく(管理人は除く)、施設としてはトイレや展望台はあるものの基本的に最小限で手つかずの自然が広がっています。

フィッツジェラルドリバー国立公園

西オーストラリア州南部を代表する国立公園に、フィッツジェラルドリバー国立公園(Fitzgerald River National Park)があります。州都パースから南東に約500km、南極海沿いのブレマーベイ(Bremer Bay)とホープトン(Hopetoun)という小さな町の間に広がる国立公園です。

フィッツジェラルドリバー国立公園

総面積は約30万ヘクタールで、西オーストラリア州で2番目に大きな国立公園です。ここの魅力は海も山もブッシュもあるので、あらゆるアクティビティが楽しめることです。さらにここの自然はとてもユニークで、世界でもここでしか見られないものが多数存在し、ユネスコのMAB計画(人間と自然環境の共生を目指す国際的な科学プログラム)の生物圏保存地域に指定されています。

ワイルドフラワー

いろいろ見どころはありますが、私としてはワイルドフラワー散策がいちばんの楽しみです。ワイルドフラワーとは人間の手を借りずに自然の中で自生している花のことで、オーストラリアのワイルドフラワーには面白い形をしたものが多いのです。

ワイルドフラワー

特に西オーストラリア州には約12,000種類のワイルドフラワーが生育しており、そのうちの約80%は世界でもここでしか咲かない固有種です。さらに、そのうちの約20%に相当する約1,900種がこの国立公園で観察でき、かつ75種は地球上でもこの国立公園内にしか自生していません。

希少な動物も生育

ワイルドフラワーだけでなく、希少な動物も生育していることでも有名です。哺乳類22種、爬虫類41種、両生類12種、そして鳥類は200種以上。つまり、フィッツジェラルドリバー国立公園は世界中の自然愛好家にとって、楽園のような場所なのです。

赤土の未舗装道路

こういった動植物を観察しながら楽しめるドライブウェイやハイキングコース、休憩所もあります。国立公園の入口に近いところの車道は舗装されていますが、ほとんどが赤土の未舗装道路です。しっかりと固められているので4WDである必要はありませんが、4WD専用のコースもあるので進む前に道路標識を確認しましょう。

ハイキングコース

ハイキングコースは平坦なものから山登りもあります。長さも往復1km以内から約50kmまでと豊富で、コースの入口には難易度や距離などが示されているので、自分に合ったものに挑戦しましょう。
私のおすすめは、ウエストバレン山の登山(West Mount Barren Summit Trail)です。標高約370mの小さな山ですが、途中で急勾配な箇所もあるので中級者向けのトレイルになります。往復でも2時間はかからないので、ちょっとしたアドベンチャーがしたい人に向いています。道中ではワイルドフラワーや野鳥の観測もでき、頂上からは海も眺めることができます。

展望台

登山は厳しいという人には簡単なハイキングコースがおすすめ。距離が短いものは難易度も低く、ボードウォークなど整備された道が多いです。海沿いのハイキングコースもあり、季節によっては鯨の親子が見られることも。展望台もいくつかあり、ほとんどが車でアクセス可能です。

このエリアはオーストラリア南部になるので、夏でも30℃を超えることが珍しく、避暑地としても注目されています。春にはワイルドフラワーが咲き乱れ、夏から秋には海水浴、冬には鯨が観測できるなど1年中何かと楽しめます。 夏は乾期でブッシュファイヤーの懸念があり、冬は雨期なので未舗装道路が閉鎖されることもありえるので、出発前には州による国立公園情報サイト『Explore Parks WA』にて道路状況を確認することをおすすめします。

文・写真=ナイーブME
このページのトップへ