トランシルヴァニア地方北部に位置するマラムレシュ県、ウクライナと国境を接するこの丘陵地帯には、多くの木造聖堂群が点在している。そのなかでも異なる時代や地域ごとに独特の建築文化を有した8つのルーマニア正教会の木造聖堂が、1999年に世界遺産に登録された。木造聖堂は17~18世紀に建築されたものが多く、釘などの金属や石の基礎を用いずに、すべてのパーツが木造でできている。大きな屋根と、天に向かって細くそびえる鐘楼を有しているのが特徴。小さな窓からわずかな明かりが射し込む内部は、極めて質素であるものの、壁には東方正教らしいイコンが多く飾られ、聖書の物語を美しく彩っている。マラムレシュ地方は、昔ながらの伝統や生活、文化が今なお息づいており、民俗学的に注目されている地域でもある。