ハンガリー北東部のティサ川とボドログ川流域に位置するトカイ地方は、12世紀ごろからワインの名産地として世界的に有名である。そのなかでも貴腐ワインと呼ばれるデザートワインが有名で、その芳醇な香りと甘味はルイ14世など王候貴族にも愛されていた。川の流域から標高250mほどの丘陵地において、伝統的なワイン生産を行う集落とブドウ畑が続いている。さらに固い岩盤をくり抜いて造られた巨大な貯蔵設備群を地下に設置。摂氏10~12度で湿度85~90%を保っているためカビで覆われているが、カビに適した湿度が貴腐ワインの熟成に最適な条件となっている。中世から変わらない丘陵地帯のブドウ畑や農村、そしてワインセラーの役割を果たす地下貯蔵庫などの景観が評価され、2002年に世界遺産に登録された。