徳島県 阿南

苔・苔・苔　緑滴る苔の森、山犬嶽

概要・エピソード

視界を埋め尽くすほどの巨石群と、それを地面ごとすっぽりと覆い隠す一面の苔。木立の葉を透かして落ちる木漏れ日は緑に輝き、苔の森を神秘的に照らします。約8haにわたって苔の森が広がる景色は大変めずらしく、日本有数の規模と謳われています。丸い緑のかたまりがいくつも集まっている様子はどことなく愛らしく、苔のふかふかとした感触と併せて心を和ませてくれます。梅雨から初夏にかけては森の水気もたっぷりで、水を含んだ苔が木漏れ日に照らされ、いっそう美しい景色が見られます。山全体を散策するのであれば、オススメは秋の紅葉シーズン。色づく原生林の華やかな紅葉と、苔のしっとりとした美しさの両方を楽しめます。

見所・お勧めポイント

苔の森は登山口から40分ほどのところにありますが、そこから30分ほど進むと山頂にたどり着けるので、森林浴がてらのハイキングも楽しめます。山頂を目指して進む道中も、杉並木に囲まれた大師堂（龍王山 東光寺）、ミニ四国八十八ヶ所の石仏、落葉の原生林など見所がたくさん。急こう配の道があるので、歩く時はご注意ください。登山口の手前には樫原の棚田が広がり、どこか懐かしい日本の原風景が出迎えてくれます。また、少し離れた場所にある八重地集落には復元された茅葺き民家「花野邸」があり、地元の人々が大切に維持・管理を行っています。

背景

苔の森があるのは、標高997.6mの山犬嶽です。かつて山頂には山犬が大きな口を開けた姿に似た岩石がありました。けれど300年ほど前に崩落し、くずれた巨石群や木々の根元を苔の絨毯が覆い、現在のような姿になりました。また、周囲の雑木林の木々が直射日光から苔を守る天然の屋根となり、この美しい景観を保護してくれています。まさに長い時間をかけて大自然が育んだ絶景といえるでしょう。