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日本に伝わる食文化である和食が、世界に注目されている。四季折々の風情を楽しみ、風土が染み込み、もてなしの心を重んじる。その信条とはいかに。

和食学 講師:小谷明宏 Akihiro Kotani 全日本調理師協会事務局長、一般社団法人京都府日本調理師技能士会代表理事、全国日本調理技能士会連合会庖匠師範、ホテルニューオウミ和食料理長

おもてなしの真骨頂 世界が認めはじめた、和食の粋

和食の真髄とは?

1月の会席料理 和食の世界的ブームが足早に近づいています。農林水産省のプロジェクトでは、日本中に伝承されている郷土料理をはじめ、うどんやそば、鮨などすべてを含み、日本固有で伝統的な食の文化を総称して和食と定義し、ユネスコの無形文化遺産の登録をめざしています。私たち日本料理の料理人も、いままで以上に和食、日本料理の真髄を改めて見直す時期だと感じています。
 私たちは、和食をどれほど知っているのでしょうか?
 昨日、今日、食した料理は何ですか?
 家庭の食卓は、パンやパスタ、洋食、中華のほかに、さまざまな国の料理が日本風にアレンジされ多国籍化しています。飲食店をみても、ファミリーレストランや居酒屋などはメニューの多さが売り。いろいろな食文化をセレクトでき、日本らしさが消えつつあります。純粋な和食と出合える店は、昔と比べて少なくなっています。
 日本の伝統や歴史から生まれ、季節を感じさせ、もてなしという日本らしさを伝えるのは、やはり会席料理です。その醍醐味は、京料理にみられます。
 京料理は平安時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代から現在にわたり連綿と受け継がれています。食材の使い方から、調理技術、提供の仕方に至るまで、古人の知恵が凝縮している京料理は、和食の原点であり未来なのです。

『味人48号』特集記事より、3月の会席料理

しきたりが融合した京料理

平安時代から伝わる儀式である 四条流庖丁式。 京料理は、多くの料理様式、しきたりがまじり合って生まれました。主なものだけでも、神饌料理、有識料理、精進料理、本膳料理、懐石料理です。
 少し説明をしましょう。
 神饌料理は、神々に供えたものを調理しいただいたことに始まります。直会ともいわれますが、魚・塩・餅・野菜・果物・山の物・海の物・酒など、それぞれの土地の恵みを使った料理で、神々を崇める精神が伝授されています。有識料理は、朝廷や宮家の宮中で節会などに食された料理で、雅やかな形式が特徴。平安時代から伝わるといわれています。
 みなさんもご存じの精進料理は、修行僧の食事。肉や魚などのタンパク質、にんにく・にら・ねぎなど精力がつくとされる五辛を用いない料理です。
 本膳料理は、室町時代にはじまった作法で一汁三菜が基本。飯と香の物をのぞき、汁・なます・煮物・焼物で構成されています。高足膳で提供され、江戸時代から大正、昭和時代にかけてアレンジされました。二汁五菜、三汁七菜と、なかには3膳を組み合わせたものも。お客様への提供の仕方に細やかな規則があります。懐石料理は、本膳料理の一汁三菜を基本とした料理で、茶の湯の席で、茶をいただく前に出される料理です。ここには、客人をもてなすという意味が強く、空腹のまま茶を飲まさず、茶をおいしく味わえる程度に出された食事。「旬の食材」「素材の持ち味」「親切心や心配りをもつ」という原則が息づいています。千利休の侘びの思想が映し出されていることは、言うまでもありません。

世界遺産としての価値

全日本調理師協会が監修する 専門誌『味人』 さまざまなしきたり、料理形態、風土が折り重なり、地域の特性をいかした会席料理や、大衆化した板前割烹など、日本の食文化は歴史の中で多様化し現在もどんどん進化しています。
 だからこそ、和食本来の心、理想を高く持たなければいけません。
 四季を重んじ、風土になじむこと。食材を丁寧に扱い、美しく仕上げることが求められます。
 京料理をはじめとする会席料理、さまざまな郷土料理、割烹や鮨、さらにはうどんやそばといった庶民の味に至るまで、日本固有の食文化である和食は、素材の持ち味を知り、おいしくするために手間をかけ、出汁をきちんととり、味を正しく調える。美しく見せるための切り方や盛り付けに対する気づかいを忘れてもいけません。
 ユネスコの無形文化遺産への登録には、文化としての誇りを伝承していくことが肝心です。人々の嗜好が多様化しつつある今、和食という言葉に秘められた、日本に息づいてきた道徳観や規律を再確認する。和食の可能性は無限です。

小谷明宏(こたに・あきひろ)
1961年生まれ、大阪出身。15歳で神戸・有馬温泉で料理の道に入り、神戸大阪と修行を積み、28歳の時、神戸三ノ宮で料理長となる。神戸・大阪・京都の料理屋・料理旅館などで料理長を勤める。2002年ホテルニューオウミ日本料理調理長に就任、現在に至る。第19回熟練技能士全国技能競技大会京都府代表【賞】受賞(2000年3月)、京都市市長賞授与(2000年12月)、第21回熟練技能士全国技能競技大会京都府代表【賞】受賞(2001年)、京都市市長賞授与(2001年11月)、京都府現代の名工認定(2008年)、第26回技能グランプリ日本料理部門第2位(2011年)、全技連マイスター認定(2011年)など受賞歴多数。
●味人 -あじびと- 全日本調理師協会 監修 http://www.ajibito.com/
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2011年6月 朝礼学/大嶋 啓介 (有限会社てっぺん代表取締役)2011年7月 フューチャー学/播野 勤 (タマノイ酢株式会社 代表取締役社長)2011年8月 キャラクター学/小池 一夫(作家・漫画原作者、大阪芸術大学客員教授)2011年9月 ツキ学/西田 文郎(株式会社サンリ能力開発研究所代表)2011年10月 笑い療法学/中島 英雄(中央群馬脳神経外科病院理事長・落語家)2011年11月 老舗学/前川 洋一郎(大阪商業大学大学院特別教授・老舗学研究会代表)2011年12月 文章学/木山泰嗣(弁護士・青山学院大学法科大学院客員教授)2012年1月 共育学/中島康滋(特定非営利活動法人コモンビート代表理事)2012年3月 和食学/小谷明宏(全日本調理師協会事務局長、一般社団法人京都府日本調理師技能士会代表理事、全国日本調理技能士会連合会庖匠師範、ホテルニューオウミ和食料理長)