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モザンビークの空に浮かんだシャボン玉
大久保 達夫
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(イメージ)

鬼ごっこを終えた子供達が続々と自分の周りに集まってきた。遠方からの訪問者が、大きな器に入った液体にハンガーを浸し、時折それを持ち上げてはゆっくりと振り回している。そんな魔法使いめいた姿に、子供達が好奇の目を向けるのも当然である。そのような大きな期待を背中に感じつつも、内心では一向にシャボン玉が出来ない状況に焦りが増していくばかりであった。液の配合の割合を間違えたか、はたまた現地の水質が合わなかったのか。様々な要因が頭をよぎる中、手だけはひたすらハンガーを液に浸しては振る作業を繰り返した。科学に失敗はつきものとはいえ、こんなにワクワクしている子供達をがっかりさせることは出来ない。その思いが天に届いたのか、ようやくシャボン玉が出来はじめてきた。とうとう顔よりも大きなシャボン玉が出来たときには、子供達よりも大きな歓声をあげている自分がいた。

私は現在、アメリカの大学院という学術的に恵まれた環境で、科学の研究を日々行なっている。人類がまだ到達したことのない知のフロンティアに踏み込んで行く際の高揚感は何にも変え難いが、一方で、そのような科学の面白さを少数の同業者で分かち合うだけでなく、その裾野を広げる必要も感じていた。そういった中、思わぬところから機会が転がってきた。 四歳年下の弟は、大学を卒業後、青年海外協力隊員としてモザンビークの孤児院で二年間ボランティア活動をするという道を選んだ。自分とはおよそ対極的な環境に活躍の場を見いだした弟を、夏休みの機会を利用して訪ねて行くことに決めた。その旅行の打ち合わせをしている中で、モザンビークに持ってきて欲しい物を尋ねると、「物を持ってくるよりも、むしろ子供達を喜ばせてあげてほしい。例えば科学実験を見せてあげられないものだろうか」との答えが返ってきた。これは科学の裾野を広げたいという兼ねてからの意向とも合致したので、二つ返事で引き受けた。

さて科学実験をやるとは決まったものの一体何をやろうか。有名どころのペットボトルロケットはどうだろう?しかし弟と何回か電話でやりとりをしているうちに、近くのスーパーが放火されて物が入手しにくいということが判明し、予想以上に現地の状況が厳しいことが伝わってきた。ならばそれほど物がなくても出来るシャボン玉が良いではないか。「シャボン」がモザンビークで使われているポルトガル語であることも何かの縁かもしれない。そうと決まればあとは準備を進めるのみである。

(イメージ)

子供の頃によく遊んだシャボン玉は、ピンクの容器に入ったシャボン液にカラフルなストローを浸して吹けば良いという便利なセットになっていたので、それに慣れていた自分はいざシャボン液から調合するとなると、その成分が何であるかすら知らなかったことに気付かされた。先人の知恵を借りるべくインターネットを検索すると、なるほど多くのレシピが掲載されている。それらを読んでいくうちに、グリセリンをいれるとシャボン玉が壊れにくくなるといった面白いノウハウも見つかった。薬局にて主成分の食器用洗剤と肌用のグリセリンの購入を済ませ、いよいよモザンビークへ向かった。長い旅路の途中、トランクの中で洗剤が漏れるというハプニングがあったが、何とか使えるだけの量は残っていたことに安堵の胸をなでおろしたのだった。


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