インバウンド事例 2019 リピーター率 50%超え 埼玉県飯能市

 

インバウンド事例 2019 リピーター率 50%超え 埼玉県飯能市
2019.06.05
前回は観光地をして有名だった場所が人気を徐々に失い、起死回生を願い、新しい視点のエコツーリズムをとりいれた例だったが、今回は埼玉県飯能市、京都府南丹山市美山、観光地としてそれほど知られていない地域の成功例について紹介します。

目次

エコツーリズムの街 埼玉県飯能市

埼玉県飯能市は、池袋から西武池袋線で約一時間、運賃も500円弱なので“ワンコイン・リゾート”と呼ばれている。自分たちの街をエコツーリズムの街と呼び、市役所の中に観光エコツーリズム推進課を持ち、年間150本のエコツアーを扱い、リピーター率は驚異的な52%という里地里山型エコツーリズムのフロントランナーである。

飯能は環境省が認定するエコツーリズム全体構想認定第一号だ。インバウンドにエコツーリズムを広めたく、JNTOに相談に行った際に「もうそこに来ているのですから、沢山の外国人がすでに来ている観光地から車で2時間なら引っ張って来られます。二時間以内にボリュームゾーンが作ることです」という「二時間以内ボリュームゾーンの原則」を教わった。

お散歩マーケット

「お散歩マーケット」は5月と11月年2回開催

飯能ならまさにぴったりだ。市民からの提案でできたツアーは、一ひねりがきいていて一味違う。古民家でのクリスマスリース作り、ヒットシリーズ 「山娘と行く」、春秋で1.500名づつ集める「お散歩マーケット」、女性専用の滝行そして2日間で2万人を動員するツーデー・マーチなど実に多彩だ。市のホームページに過去に実施したツアーの一覧があるので、その工夫と多彩さを見て欲しい。

欧米向けに「ジビエ」、アジアむけに「雪」を活用

美山

美山町のサイクリングコースは3コース(1コースあたり3から4時間程度)

京都から2時間圏に南丹市美山がある。こちらも環境省のエコツーリズム全体構想の認定を受けている。茅葺屋根の集落が30軒ほどあり、人が住んでいる現役の生活空間だ。巨樹、巨木が鑑賞できる京都大学の演習林がある。そして最近は鹿やイノシシのジビエが人気だ。ジビエとして食用に利用する前に「鹿狩り、鹿の解体ショー」のオプショナルツアーが若い女性に受けている。血抜きをしてぶら下げた鹿をナイフのよう細い器具で、あっという間に様々な部位にさばいていく。15分ほどでその作業は終わる。その手際の良さは見事だ。そこがこのオプショナルツアーの魅力だ。もともとジビエは欧米では人気で、House of Game(ゲームは食用猛禽類の意味)が各地にあり、禁猟の時期が終わるのをみんな楽しみしている。欧米からのインバウンドとジビエの親和性が高い。

美山でのもう一つのインバウンドの成功例は冬の美山「雪灯廊」だ。雪灯廊の開催される一週間で雪のないアジア圏からの観光客が1万人弱訪れるようになった。バケツに雪を詰め、ひっくり返して穴をあけ、そこにろうそくの火を灯す。かまくらのミニ版ができる。実際この作業を体験させるところがポイントだ。

サイクリングで田園風景を楽しむ

エコツーリズムのもう一つの新しい面はゆっくりした旅の楽しみ方だ。代表はサイクリング。鳥取県大山のダウンヒルは気持ちがよい。小豆島のサイクリングロードも充実していた。

一番の成功例は飛騨古川のサイクリングツアーだろう。約8万人の人口の街に28万人の外国人が来る街、高山から近いという恩恵に浴し多くの外国人を誘いこんでいる。「多くの外国人が来る観光地から2時間以内のボリュームゾーンを作る」という原則にぴったり合ったもう一つの例だ。

「高山は武士の街だが、飛騨古川は商人の町」と聞かさて訪ねてみた。鯉が泳ぐ掘割に続く白壁の見事な蔵の連なりを見ると商人の町として栄えた往時が偲ばれる。インバウンド観光客にこの町の雰囲気も人気だが、インバウンド観光客に磁力を放っているのが飛騨古川の田園風景だ。インバウンドの成功例として頻繁に取り上げられるのは、仕掛人の株式会社 美ら地球(ちゅらぼし)の代表取締役 山田 拓氏の尽力に拠るところが大きい。
山田氏の言葉を借りると「Countryside」という言葉が欧米の人たちの心に深く刺さるようだ。外国人は稲穂のそよぎに胸をときめかせ、畦道に咲く草花について質問をする。田園の中を自転車で巡るスピード感が気に入られているようだ。

美ら地球はトリップアドバイザーの評価が頗る高い。山田氏に拠るとその理由は「Good Guide ,Good people」だそうだ。エコツーリズムなどの付加価値のつけられるガイドの存在、そしツアー予約の受付からは始まるスタッフ(Good People)の対応の素晴らしさだ。

インバウンド観光客が来ている観光地に近く、田園風景が楽しめる場所であれば、実施すべきはガイドの育成である。それが揃うようになれば第二の、第三の飛騨古川になれる。因みに山田氏の行なってきた、成功への道筋は山田氏の近著「外国人が熱狂するクールな田舎の作り方」(新潮新書)に詳しく書かれている。山田氏の情熱とコンサルティング会社で培われたクールな分析力が読み取れる、至言に充ちた良書だ。

もう一つのサイクリング人気の地はしまなみ海道だ。本州の尾道から四国の今治までのいくつかの島を橋でつなぎ、本州から四国へ自転車でも行けるようになった。結構高いところに道路があるので、そこからの見晴らしは良く、瀬戸内の多島海の景色はため息が出るほど素晴らしい。かつてここを村上水軍が跳梁していたのかと思うと思いはさらに膨らむ。

インバウンドのサイクリストが喜びそうなダイナミズムを感じる。

Omomichi U2 ホテル内観

自転車ごと宿泊可能なサイクリスト専用ホテル
photo-Tetsuya Ito/Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi

その中でサイクリスト垂涎の場所は尾道にあるOnomichi U2というホテルだ。ここは自転車のまま、チェックインができ、自転車のまま部屋へ行け、部屋の壁に自分の愛してやまない自転車を壁にフックしておける。自分の宝の自転車をずっと見ていられる至福の時間が味わえる。自分の欲しいもののためにはひとはお金は惜しまないものだ。

次回はインバウンドとエコツーリズムとの親和性の高さを深堀りする。

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