JTBスポーツ 二宮清純 〜スポーツジャーナリストの視点〜

二宮清純プロフィール

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二宮 清純 プロフィール
スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。 1960年愛媛県生まれ。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広く取材活動を展開。地域密着の総合型スポーツクラブづくりにも取り組む。東北楽天ゴールデンイーグルス経営評議委員、日本サッカーミュージアムアドバイザリーボード委員なども務める。

第12回プロスポーツの主役は都市と地域


米国を代表するプロスポーツであるメジャーリーグ・ベースボールにしろ、ヨーロッパや南米で一番人気のあるサッカーにしろ、主役は「都市」または「地域」です。
その証のひとつとしてニューヨーク・ヤンキース、ロサンゼルス・ドジャース、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘンといった具合に、 球団名には必ず都市名が冠せられます。それゆえ、地元の住民には「オレたちのまちのチーム」という意識が強いのです。

マンチェスターに住む子どもたちのクレヨンや絵の具は12色ではなく11色だという話をよく聞きます。 同市を本拠とするユナイテッドのチームカラーは赤、シティは水色。 お互いに「縁起が悪い」といって親が子どもに内緒でライバルチームの色のクレヨンや絵の具を1本隠してしまうというのです。 多分に誇張された話だとは思われますが、それだけ「オレたちのチーム」に対する強い誇りと愛着を感じさせます。

また海外では米国ウィスコンシン州グリーンベイに本拠をおくNFLチーム、 グリーンベイ・パッカーズ、ラ・リーガに加盟するフットボールクラブ、FCバルセロナが「市民球団」と見なされます。 グリーンベイは米国で唯一、一般市民がすべての株式を保有しているプロスポーツチームです。 FCバルセロナは一般市民などから会費を募り、その会費で運営しています。

このような「市民球団」ではありませんが、資金力の劣る小さなまちのチームが大きな都市を拠点とするビッグクラブに 勝った時のファンやサポーターの喜びぶりは、日本風にいえば「盆と正月が一緒にやってきた」かのようなものです。


近年では2015年のメジャーリーグ、ワールドシリーズが思い出されます。 カンザスシティ・ロイヤルズとニューヨーク・メッツの対戦となったのですが、 4勝1敗でロイヤルズが30年ぶりに「世界一」になりました。
カンザスシティの人口が約45万人であるのに対し、ニューヨークは約800万人。地方都市が大都市に勝利したことで地元は熱狂の渦に包まれました。

中央と地方の格差は先進国が抱える共通の問題です。グローバリズムの進展により、双方の格差はさらなる広がりを見せています。 そんな中、統一されたルール、制限された人数で戦うスポーツは、戦い方次第で「弱者」が「強者」を倒し、 「勝者」になることのできる数少ないソフトウェアということもできます。
スポーツが盛り上がれば、地域が栄える――。JTBは日本を代表する旅行会社として、地域振興のいっそうの牽引が期待されています。


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