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同い年である。なのにバリバリ元気である。かつ、イケメンである。
今日はあるビジネス雑誌の企画の一環として、社長インタビューにかり出されている。
目の前にいるのは、一代で財を成した青年実業家の社長さん。裸一貫からはじめ、今や市場を世界に広げるまでに成功した、食品加工会社社長である。この世代はネットビジネスでの成功例が多い中、彼はどちらかというと実業で成功した社長さんである。というと、バリバリの泥臭い社長をイメージしそうだが、目の前にいるのは、紳士でイケメン、頭脳明晰、明朗快活、非の打ち所がないのである。
羨ましさが先に立って、なかなかインタビューもうまく進まない。
そうこうしているうちに、今後、大規模な商談のため、シンガポールへ飛ぶという話が出る。
「ああ、シンガポールですか?」
思わず、さも行ったことがあるような受け答えをしてしまう僕に、
「さすがライターさん、行かれた事があるんですね。やはり取材ですか?」
「ええ、まあ、えーと、マーライオンの取材で…」
シンガポールといえばマーライオンしか知らないのである。
横で社長秘書が失笑をこらえている。
なんで、こうも違うのだ。道を間違えなければ、僕にもこんな道があったのだろうか。いや、きっとあったはずなのである。ああ、シンガポールで商談かぁ。
ぼーっとした頭で聞くところによると、このイケメン社長、今度、大規模な商談のため、シンガポールへ飛ぶという。そもそもこの社長、単身渡米し、自ら考案の調味料で成功した調味料キング。今回もその原料となるエビの商談らしい。
泊まるホテルは、今、CMで話題の「マリーナ ベイ サンズ シンガポール」。スイートを予約して1週間ほど滞在するのだという。
なんとも羨ましい話である。
撮影の準備ができたとカメラマンが知らせに来たので、ひとまずインタビューは中断。社長は別室へ。
「マリーナ ベイ サンズ シンガポール」かぁ…。頭が妄想モードになっていく。僕は青年実業家…。 さっそくトルノスにログインである。
飛行機はファーストクラスを押さえ、ホテルはもちろん「マリーナ ベイ サンズ シンガポール」だ。調味料キングの社長より先にシンガポール入りだ。
目の前で見るホテルの外観の迫力たるや、CM以上である。
実はこのホテル、風水に基づいて建てられたらしい。
シンガポールは風水的にとても良い地相らしく、龍脈と呼ばれる、エネルギー(気)が発生する場所が5カ所あるため、5匹の龍が棲んでいるとも言われている。
風水は全国民的に浸透していて、そのためこんなエピソードもある。
1980年代半ばの地下鉄工事の際、「素晴らしいシンガポールの龍脈」を傷つけると反対の声があがった。しかし、不景気のまっただ中、地下鉄工事を中止するわけにはいかない。困った政府が風水師に相談すると、「国民全員にお守りを持たせなさい」との答え。国民全員にお守りを持たせるために発行したのが、現在のゴールド八角形の1ドルコインなのだそうだ。
そんなシンガポールだから、建築だって風水を無視するはずがない。
この「マリーナ ベイ サンズ シンガポール」も同様で、風水師が三つのビルの上には船を作りなさいと言ったので、屋上を船でつなげたデザインとなったらしい。
今回は商談も兼ねているので、ホテルに着いたらすぐにアポを取る。相手は社長から聞いていた世界のエビ王と言われる実業家。そう簡単にアポイントメントが取れる相手ではないが、そこはまあ妄想のいいところ。僕の提案に興味を示したエビ王はすぐに会いたいと言ってくれたりするのだ。
僕の提案は、エビを刺身で食べるプラン。
味に大きな自信を持っていたエビ王は、生でも食べられるほどおいしいという賞賛に満足し、僕のプランで大いに盛り上がる。商談はまとまりかけた。
しかし、ここで調味料キングの社長が登場。最初に話を持って行ったのは、イケメン社長なのだから、黙って見過ごすことはできない。エビ王にクレームの連絡が入ったらしい。
確かに社長の言っていることは筋が通っている。そこでエビ王は、とりあえず僕との商談も白紙に戻し、二人でプレゼンをしてくれと提案する。
プレゼン前日。刺身で食べる以外に、何かもう一つプランを盛り込めないか、そんな思案をしながら市内をぶらつく。
そこで目にしたのが、East Coast Prawning。なんとエビの釣り堀だそうだ。
そもそもシンガポールはエビ・カニの料理が有名だが、釣り堀では釣ったエビをその場で料理してもらえる。実はシンガポールでは結構いろんなところにあるらしい。実際にやってみると、これが大人でもなかなか合わせが難しく、結構熱くなれる。なかなかオススメのレジャーなのだ。
よし、これで行こう。
高級なエビ料理も堪能できるが、少し安価なエビを放流しエビ釣りも楽しめる。そんなお店にすれば、敷居の高い料亭のようにはならずに、子供連れやカップルでも気軽にエビを楽しんでもらえるスポットにできるはずだ。
そして当日。
エビ王の登場。後ろに何やら妙齢の美女が…。
ん?イネス!!
イネスも一瞬僕を見て驚くが、表情には出さずに席に着く。
エビ王がいうには、自分だけの判断では私情が交じるかもしれないので、公正を期すためにも、秘書であるイネスの意見も聞きたいと連れて来たのだという。
調味料社長のプレゼンも、なかなかに素晴らしい。僕も持論を展開。エビ王の表情からは、まだどちらなのか見て取る事はできない。
一度、別室に入り、協議するエビ王たち。
勝ったのか、負けたのか。
別室から出て来たエビ王の答えは…
「ミスターSasakiに頼みたい」
やった!勝った!!
さすが、紳士な調味料キング。負けは負けと認め、握手で僕の健闘をたたえた後、静かに立ち去って行く。
一息つくために、ホテルのプールサイドにあるバーへやって来た。
一杯飲み干す頃に、イネスがすっと隣に座った。
「今日はありがとう。君のおかげで勝てた」と僕。
しかし、イネスは意外な答え。実はイネス、公正に検討した結果、調味料キングの案がいいのではないかと提言したのだという。ビジネス的には、調味料キングの方がリスクが少なく、成功の可能性が高いと判断したのだ。
さすが、イネス。そこに私情はなかった。
「社長は、エビそのものを食べさせたいという、あなたの情熱に乗ったの。あなたは自分の力で勝ち取ったのよ」
そこで、今後の話をしながら、エビ王が今夜一緒に食事をしたいと言っているという。イネスも同席する。エビ王が長い時間つき合えないので、かわりにイネスに僕のアテンドを頼んだのだという。
顔にはなるべく出さないようにしたが、思わずにんまりしてしまう僕。
(社長は途中で帰る…、イネスはアテンドで残る…、夜は長い…ムフフ)
いい気分でいるところに…
「どうかしましたか」と天の声。
気がつくと撮影も終わり、イケメン社長が目の前に立っていた。
ニヤニヤ顔の僕に、美人秘書の白い目…。
ああ、やはり、現実はこうなのねぇ~
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「クリエイティブな発想が旅をより面白くする。そしてその発想は日頃の妄想によって鍛えられる」との妄想ツーリズムを提唱し、日々“妄想トラベル”を遂行!
たまたま現実に戻る時には、雑文を書き散らし日銭をもらう。その結果、お声が掛かれば本なども出し、『監督たけし』『キューケイくん』『缶詰パラダイス』等々の著書あり。元来は詩人なので『東成瀬村岩井川字村中25』『いつもそばにいるよ』などの詩集も奇特な出版社から出ている。
>>佐々木桂ブログ【桂乃徒然】