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JTB交流文化賞

第12回受賞作品発表

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交流文化賞 ジュニア体験部門

第11回 JTB交流文化賞 受賞・入選作品

中学生の部

優秀賞

旅行の笑顔は未来に続く

西本 朱里

今年の五月、父が再婚した。私にとっても新しい家族、母親ができた。通称ちかちゃん。私の中ではちかちゃんは、この時すでに母親になっていた。広島旅行のおかげだ。

さかのぼり昨年の八月。夏休みは部活で土日も練習づけ。休みなんてどこにあるんだ!そんな中、八月の終わりに貴重な三日間の連休が決まった。しかし、そこにすかさず父が予定を入れた。愛媛の祖父母に会いに、広島に行くことになったのだ。なぜ愛媛で会わないのか。それは父がお付き合いしているちかちゃんを緊張させないように、旅行をかねて祖父母に紹介することが目的だったからだ。

父や祖父母の目的はそれとして、私はオリジナルで二つの目標をつくった。一つは、広島を思い出の場にできるように満喫すること。もう一つは、父と私と、もしかしたら母になるちかちゃんと三人でたくさん笑うこと。将来一緒に暮らすなら、笑いが絶えない関係でありたい。そして、広島の思い出をずっと話せたら素敵だと思った。普段の生活でも思い出はたくさんできるが、旅は幸せを心に刻む大きなチャンスだ。五歳の時に伊豆の海で浮き輪ごと波にまきこまれて三回転してへこんだ記憶は今も鮮明で、父も夏になると楽しそうに話題に出してくる。迷惑な話だが旅が特別なのは間違いない。

まず新幹線。出発の朝から苦戦した。大苦戦だ。私は乗り物に酔いやすかった。東京から広島までの四時間、笑うどころではなかった。ちかちゃんにもたれかかり爆睡した。なんとか広島についてホテルに荷物を預けた。笑う余裕もなく午前が終わった。

初日の昼過ぎから、三人で平和記念公園に行った。父に聞いたところ祖父は広島の出身で、原爆が投下された時には三歳で、博物館の被害の出ていた地域の説明が書かれている地図のはしに出ているくらいの距離に住んでいたらしい。正直私には数々の展示に辛さや悲しさしか感じられなかった。こんな時代を生きた先祖はどんなに大変だったか、想像もつかない。父はこれまで何度もあの展示を見てきたようで、ところどころで私達に、
「これ、覚えておいてね」
と語った。父にとって広島の歴史は特別なものなんだと感じた。大人の二人がじっくりと見て回っているのを見ながら、私は将来、同じように子供を連れてここを訪れるべきだと思った。笑うシーンはそんなにない一日だったが、大切な想いを三人で同じように感じられたかなと思った。

二日目には宮島へ行き、祖父母と合流した。宮島にはすごい迫力の朱色の鳥居や厳島神社、背中にそびえる山、たくさんの鹿がいて、いたる所で記念撮影をした。ちょうど潮がひく時間帯に、みんなで鳥居まで歩いたりした。初めはみんな緊張していたが、いろいろ見て回り、おしゃべりするうちにどんどん笑顔になっていった。私は初めカメラマンになってみんなを撮るつもりだったが、ちかちゃん達と宮島を満喫しているうちに、いつの間にか父にカメラを預けていた。でもカメラマンの父も楽しそうだった。ほとんどの写真の主役は私とちかちゃんになっていた。

夜は全員でレストランで食事をした。こういう時の大人の話は退屈で、だいたい昔話だ。父の小さい頃や学生の頃の自慢話や、祖父の同じく若い頃の思い出話。でも大人四人はすごく楽しそうに話をしていた。私は気づいた。ちかちゃんを紹介するのではなく、ちかちゃんに紹介している展開になっていると。笑顔の絶えない会話だった。食事の後、夜の鳥居を船で見に行った。すごくキレイだった。そして、それを五人で満喫できた。後で父に聞くと、全員夜に宮島に行ったのは初めてだったようだ。素晴らしい景色を見られることもだが、あの瞬間大切な家族と一緒にいられたことが嬉しかったのは、私だけではなかったはずだ。

翌日祖父母と別れて、東京へ戻る新幹線でも酔った。また父ではなくちかちゃんにもたれかかった。この旅行の間、ちかちゃんが一番緊張で疲れていたはずだが、私は遠慮なくもたれかかった。これも思い出になるのだ。旅を終えて東京に帰ってからのほっとした三人の笑顔で、私の二つの目標は達成できたと実感した。

いい旅だった。広島での写真は、今も三人のお気に入りだ。家族の自然な笑顔にも自分の笑顔にも満足している。

旅行は名所や遠方にいくのも良いが、私達が生きていく上で、後に宝物になる思い出や、絆をつくることができるから良いのだと思う。その思い出の中の景色が美しかったりすると、さらに良い。そして楽しい笑顔の思い出をお土産にして家に帰るからこそ、また良い毎日が続くのだと思う。

広島の旅行からもうすぐ一年。父・母・私、我が家は、今日も変わらず笑顔だ。

あらましと評価のポイント
【あらまし】

父と、父の再婚相手と3人での旅行。笑いの絶えない関係を作りたいと考える筆者。旅は幸せを心に刻む大きなチャンスだ。目的は、旅先を新しい家族の思い出の場所にすることと、3人でたくさん笑うこと。広島を巡りながらどんどん笑顔になっていく。今もその写真は3人のお気に入りだ。

【評価のポイント】

筆者の年頃でしか書けない繊細で複雑な心境が描写されており、その心境をいろいろ想像させる表現力を高く評価した。旅行が相手との距離を縮めるきっかけになっている。

受賞作品

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