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JTB交流文化賞

第12回受賞作品発表

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交流文化賞 ジュニア体験部門

第10回 JTB交流文化賞 受賞・入選作品

中学生の部

優秀賞

金閣を見て

石川 聖竜

生憎の雨の中、傘を差して僕らは順路を進んだ。厚い雲に太陽が遮られ、薄暗くなった視界の中に、目的の建物が飛び込んできた時のあの感覚は、恐らく一年は忘れないだろう。風雨で水面が荒れる池で観光客と隔絶され、薄暗い一帯の中でもはっきりと輝く、壮絶とも言えるその姿は、西洋画の英雄のような雰囲気を纏っていた。

今年の七月、僕は父と京都へ行った。歴史好きの僕が以前から京都へ行ってみたいと思っていたところ、父が暇を見つけて連れて行ってくれたのだ。京都では、観光タクシーで色々な名所を周った。その中で、僕が一番印象に残ったのは、金閣だった。歴史好きとはいえ、ほとんどの知識は文献から仕入れている僕は、金ピカという言葉を聞いても具体的なイメージが湧かず、その文化的意義は理解できても、写真だけではその凄さを感覚的に理解できなかった。しかし、目前に本物の金閣を見た時、ようやく凄さを感覚的に理解できた。金閣は、周辺の風景に溶け込まないどころか、周辺の風景を圧し、服従させているように見えた。周囲を囲む池をその輝きで圧倒し、並ぶ者ない荘厳な姿を見せつける金閣は、君とは違うんだよ、と僕に言っているような気がした。

そう言われた気がしたのは、金閣のかつての主、足利義満が絶大な権力者だったところから来ているのかもしれない。足利幕府三代将軍として室町時代の頂点を飾るこの人物は、日本国内に自らと同格、あるいは自らより上の存在を認めなかった。未だ基盤の弱い室町幕府のトップとしてその強化に奔走し、反抗する大名を容赦なく潰し、天皇を上回る権力を示すために花の御所を建設した彼は、その政治においては必ずしも、現代の尺度における善政とは言えない所もあるが、その豪快さと自己顕示欲は、当時の誰をも凌いでいた。豪快さや自己顕示欲は短所とも成り得るが、金閣にはその良い面が特に表れている。例えば、最大の特徴である豪華な金色は、それが金色の「寺」であり、また周辺に池や木々を配したことで、単なる金ピカではなく、品のある金ピカになっている。それでいて、金閣は木々や池の風景に埋没せず、強烈に自己顕示してくる。

この日僕は銀閣にも行ったが、金閣と銀閣の雰囲気は全く違っていた。銀閣は、周辺の静かな庭園風景の中に溶け込んでいる。銀閣はあくまで、庭園の構成要素の一つであり、金閣のような周囲を霞ませる圧倒的存在感はない。これに対し、金閣はそれだけで作品となり得る強烈なインパクトを持っている。演劇で例えれば、金閣はその存在感で文句なしの主役を演じているのに対し、銀閣は主役のはっきりしない劇での名脇役というところか。銀閣は、室町幕府八代将軍足利義政によって建てられた。彼は、衰退しつつあった室町幕府を背負わされ、弟と子の次期将軍争いで京の町は廃墟と化すなど、安静とは無縁の人生を歩み、最後は銀閣で息を引き取った。そんな義政が自らの安息を願って建てた銀閣は、君と同じでいたかった、と義政を代弁している気がした。

僕は、これまで室町幕府を過小評価していた。一揆や大乱が頻発し、管領や大名に振り回されたこの幕府は、鎌倉や江戸の幕府に比べると、やはり少し影が薄い。しかし、やはり日本全土(北海道と沖縄は除くが)を支配した力は凄い物だった。特に義満の時代、彼が建設した数々の建造物、特に金閣は、その力を雄弁に物語っている。今回、僕は金閣や色々な名所を観て、特に諸行無常という言葉を思い出した。あれだけの建物を建てた室町幕府がそうだったように、いつか日本も現在の姿ではいられなくなる。そう考えると、想像がつかないと同時に、今とは違う日本や世界を見てみたいと思った。その時に、金閣が残っていれば、また来ようとも思った。その時には、君とは違うんだよ、と言われないように、見聞を広めておきたいと思う。

あらましと評価のポイント
【あらまし】

歴史好きの筆者の初めての京都訪問。一番印象に残った金閣寺の存在感から、筆者はかつての権力者・足利義満を連想した。これだけのものを作りながらも衰退してしまった室町幕府のように、諸行無常という言葉と日本の将来を重ね合わせる。将来、金閣が残っていたら、その時はその圧倒的な存在感に負けないくらいの自分でありたいと思った。

【評価のポイント】

建築や歴史に関したたくさんの情報を集め、大変よく勉強している。銀閣との比較から、義満・義政の人格をとらえようという観点に筆者の論理的な力を感じる。

受賞作品

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