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JTB交流文化賞

第12回受賞作品発表

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交流文化賞 一般体験部門

第10回 JTB交流文化賞 受賞作品

優秀賞

まさかのホームレス体験

煖エ 美知子

私は、小学生だった娘二人を抱えて酒乱の前夫と離婚し、娘二人を育て上げて二十八年目に今の夫と再婚した。

夫も、十年前に離婚していてバツイチどうしの再婚だった。

母子家庭で頑張っている福岡在住の次女と、二人の男児の孫達のために、私達が結婚してから毎年、夏休みと冬休みに、夫が私の孫達を東京に招待してくれることになった。

最初の年は、二人一緒に招待したのだが、「ママが一人残って寂しくなるし、ばあば達が出してくれる交通費も二倍になるけん、交代で一人ずつ来ることにした」と、孫が二人で話し合って決めた。

当時小学五年生の長男のコウちゃんと、次男の三年生のノブ君の決断を尊重して、東京に一人ずつ交代で、孫が来るようになった。

今年の夏休みは、コウちゃんが来る番だったが、中学三年生で高校受験を控えているため、中学一年のノブ君が来ることになった。

普段は夫婦二人だけの静かで穏やかな毎日なのだが、夏休みになると福岡から孫がやって来るので、途端に賑やかで活気のある忙しい日々となる。

母子家庭ではなかなか経験できない、魚釣りにノブ君が行きたがっているのを知っていたので、バスツアーで、沼津に釣りに行った。ノブ君は夫から餌の付け方や、浮きの見方を教えてもらい、真剣な顔で糸を垂れていた。又、同じバスの人達と顔見知りになり、餌が足りなくなると、よそのおじさんが「余っているから、お兄ちゃん、この餌使っていいよ」と餌を分けてくれた。

魚がかかると、ノブ君は大声で「ああ、かかった!すげー!」と叫び、夫に魚の外し方を教えてもらい釣れた魚を大事そうにバケツに入れた。

周りのおじさん達も、バケツを覗きこんで「すげーなあ、お兄ちゃん、うまいじゃないか」と一緒に喜びを分かち合ってくれた。

ノブ君にとって、祖父と祖母だけでなく、バスで一緒のおじさん達とも触れ合えた、楽しいツアーになったようだ。

日本三大花火の一つと言われている新潟長岡の花火を、孫にも見せたらどうかと、夫の提案で、八月三日はJTBのツアーで、花火の鑑賞をすることになった。

ノブ君は、そんな大きな花火大会に行けることだけでも、とても嬉しかったようだ。

「長岡って、新潟県よ、凄かろうー。そこの花火、日本で一番デカくて、綺麗らしいぜ」前日に、当日食べるお菓子をリュックに詰めながら、携帯で、福岡の母親や、兄のコウちゃんに興奮して電話をしていた。

池袋、十時五十分発のJTB指定臨時列車に乗り、列車の中では、夫とノブ君が並んで座り、コンビニで買って来た弁当を食べ、リュックから出したお菓子を食べながら、夫から車窓の景色の説明を聞いて、ウキウキしていた。

父親の味を知らないノブ君にとって、夫は、お父さんであり、お祖父ちゃんでもあるので傍にいて話をするだけで、嬉しいのだ。

三人で座れないので、指定席のあと一席は、夫の席から通路を隔てた席で、私が座った。隣の席の女性は、私より十歳くらい年長と見られ、一人旅にも慣れた人だった。

国内だけでなく、海外にもJTBのツアー旅行を楽しんでいるという、恵まれた環境の婦人だった。

夢のように美しく輝くオーロラや、満天の明るい星を見に行った時の話を聞いて、私の方まで、心豊かな気分になり、長岡までの長旅も、海外旅行の話を聞かせてもらったお陰で、短く感じられた。

午後四時頃になると、列車の窓にポツポツと雨が当たるのに隣の婦人が気付いた。

「あら、雨かしら、花火が終わるまでは、曇ってても良いので、降らないで欲しいわね。私は若い頃から『晴れ女』と言われて来たから、ここが降っていても、長岡はきっと花火日和ですよ」

「あら、私もそうですよ。二人も揃って『晴れ女』だから、きっと大丈夫ですよ」

そんな話をしていると、窓から見える水溜りを見て、列車の前の方の中年の男性が「去年、長岡の花火のツアーに来た時、雨は止んでいたんですが、桟敷席がビショビショで、座る事が出来なくて、立ったまま花火を見たので、首が痛くなって花火鑑賞どころじゃなかったから、今年もツアーに申し込んで、今日来たんですがねえー」と溜息をついた。

私は助けを求めるように「大丈夫だよね」と夫を見ると「大丈夫、長岡は夜の十時以降に雷雨があるかもしれないという予報だったから」と自信あり気だった。

夫も『晴れ男』だから、それを聞いて心が落ち着き、私もノブ君も顔を合わせて頷いた。長岡花火大会臨時列車は、「きっと晴れる、花火はきっと打ち上げられる!」と一致団結した、強い思いと祈りを乗せて、長岡に定刻通り四時半に到着した。

皆の願いは叶い、空は晴れ、西日が眩しくない程度に雲が掛かり、地面に水溜りも無く、絶好の花火日和となっていた。

暗くならない内にと、券と引き換えに入り口で渡された「花火弁当」を桟敷で広げて食べ始めると、心地良い川風が吹き、花火大会が始まった。

※会社名は各社の商標又は登録商標です。

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