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自転車旅で出会ったおもてなし文化
恩田 茂夫
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(イメージ)

小学校でいじめを受けて不登校になった娘と毎年、父娘で自転車旅行を続けてきた。

娘が四年生の夏、今から四年前に始めた。

娘は小学校を不登校のまま卒業し、証書は私が作った。受験して入った中学校には毎日通うようになったが、夏の自転車旅行はその後も続けている。

不登校だった小学生のあいだの三回の旅行では、能登半島、下北・津軽半島、紀伊半島と走った。いずれも東京から電車で自転車を運ぶという輪行スタイル。夏の暑い時期、起伏に富んだ道のりを、真っ黒に日焼けして、それでも頬を真っ赤にして、走り抜いた。真っ青な空、真っ青な海、ヒグラシの涼しげな声、クマゼミの喧しい声、人影のない林道、暗くなっても街灯もない道のり、豪雨のなか… 自動販売機などずっとない山の中で水を切らしてしまい、伐採の仕事中のおじさんに麦茶を分けてもらったこともあった。真っ暗になってから辿り着いたキャンプ場で、枝を集めて火をおこして御飯を炊いて、夕食が十時近くになってしまったこともあった。

三回の夏で千五百キロを走り抜いた。

(イメージ) 体力もさほどあるわけでなく、補助輪がはずれるのも遅く、おまけに不登校になって自信も失っていた娘が、自分の力で成し遂げることによって得た達成感や自信は、何物にも代えがたかったはずだ。さらに、行く先々で目に焼き付けた絶景。そして、道中で知りあい、励ましてくれた人々の温かさ、優しさは、当時いじめにあって深く傷ついていた娘にとって、何よりもありがたいものであったのではないか。「狭い場所で酷いめにあわされても、広い世界に出てみれば、人の親切や優しさが満ちあふれている場所が必ずあるはずだ」と伝えたかった私の意図は、大成功した。

それぞれの旅から帰ってきた後も、手紙や電話をくれ、不登校中の娘と私のホームスクーリングを励まし続けてくれたり、お米やりんごを送ってくれる人もいた。東京で生まれ、東京で育ち、荒んだ学校現場で酷いめにあわされた娘が、あまり裕福といえず過疎も進み利便性も低い土地を走り、そこで出会った人たちから、人として大切なものは何か、を改めて確認させられたような気がする。娘だけでなく、私も…

中学校に毎日通うようになった最初の夏、自転車旅行を続けるかどうか、迷った。

しかし、父娘で話しあってみて、娘の中でも、このスタイルの旅をやり抜くということがアイデンティティーとなっていることに気づいた。また、不登校の苦しいあいだ、旅先で知りあった人たちにどれだけ支えられてきたかを思い起こすと、自転車旅行はやめるべきではないと思った。 そして昨年の夏は北海道を、苫小牧から宗谷岬まで走った。

迎えた今年、目的地は四国にした。

これまでも、岬の突端を目指す旅が多かった。能登半島では禄剛崎、猿山岬へ。青森では尻屋、大間、竜飛の三岬を制覇した。本州最北端へ行ったので、翌年は本州最南端の紀伊半島、潮岬を目指した。そして本州を出て、日本最北端の宗谷岬…

次は、ということで、また本州を出て、四国の室戸岬、足摺岬を目指すことにした。


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