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西表島に染まる日々
塚口 洋子
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(イメージ)

旅は本当に人生を変えることがあります。そして今も旅の途中です。西表島から文章を書いています。

2011年6月家族旅行で四国をと計画していましたが父の意見から沖縄旅行に変更になりました。

私は気のりせず、沖縄県の石垣に3泊4日ののんびり旅行準備です。海ばかりではと思いながら、以前に読んだ染織の本を読み返していました。沖縄の西表島に芭蕉(バナナの繊維)で織物作品を作る方が紹介されていました。大学で染織を勉強した私は工房見学に行くことにしました。旅の1日目は石垣をドライブ、2日目は西表島の工房見学、3日目はシュノーケリングというスケジュールでした。1日目は石垣の美味しい料理、快適なホテル、ドライブとリゾートを楽しみました。2日目の西表島は石垣から船に揺られ、着いた島はジャングルのようです。石垣に日帰りなので工房見学1時間半と近くの星の砂ビーチのみでした。ところがこの1時間半は衝撃と感動で頭で整理のつかない状態になりました。こんな出来事があるのかと思いました。工房では植物で染めた色糸が並び、見たことの無い繊維が干されていました。ご夫妻で工房を営んでいるようで、ご主人は畑で染料となる植物、野菜のお世話をして休憩に三線を演奏されていました。奥様は織機と糸(イメージ)の話、琉球の織物の話をして下さいました。素材を育て、季節の染料を採り糸を作る。蚕の卵から植物の種からの布作りです。そういう布なので白い無地の布でさえ生命感がありました。時間をかけて作られる美しさ、ため息が出ます。肌触りの良いこと、布が喜んでいるようです。私が知っている布を織ることは大学で勉強したことで糸を買い、染料を買い、機に準備してからが仕事だと思っていました。それを覆すように奥様が言うのです。「私たちの仕事は機にのったら90%の仕事が終わるのよ。機にのったら終わりが見えてくるでしょ」と。私の知らない90%分の仕事と生命に溢れる布に出会い私は胸がいっぱいで全てが疑問で全てが新鮮な思いで石垣に帰りました。その後の旅で母も祖母も心配するほど私は無口に考えごとというより魂を置いてきたような状態でした。3泊目は川平湾で父とシュノーケルに行き、船で父が冗談まじりに「沖縄最高!咋日の先生のところで織の勉強したら」なんて呑気に言ってしまった一言ですが私の胸の中で大きく響きました。沖縄を後に私はいつもの神奈川での生活に戻りました。毎日の生活と本当にやりたい事について悩む毎日、生活と金銭面の問題を理由に自分を縛り付けていた日々に少しエンジンをかけさせてくれた沖縄旅行でした。旅行から2か月後の8月、私と友人で運営している小さな子供造形・絵画教室で大きな布に絞り染めをする事になりました。 せっかくなら子供たちに自然の色を使わせたい私も自然の色を知りたいと西表の先生にお願いをして染料を少し分けて頂きました。旅で出会った西表の染料が届きました。私も初めての沖縄の植物染料染め、20人の前で戸惑いながら染液を作るものの濁った液しか出ない状態です。困りながら時間にも追われ先生の手紙のとおり染めてみました。やはり鈍い色です。神奈川の水では無理なのかと焦ります。次に灰の上づみ液に入れた瞬間お母さん、子供たちの大きな歓声が聞こえました。あっという間に布が鮮やかな黄色に変化しました。思いもよらない色鮮やかさにみんなが感動しました。子供たちも手品のようだと喜んでいました。何より私が植物染料の魅力に感激しました。私は無理を承知で西表に手紙を書きました。お礼と感動とこれからの事について、西表に研修に行きたいと書きました。手紙を読んだ工房の奥様から電話を頂きました。来るならいつ頃来れるかしらと、うれしいお電話でした。まだ、何も段取りを決めていない私は来年の4月からと言っていました。電話を切り、冷静に考えると今の仕事と生活を変え、1時間半の観光滞在で何があるのかも分からない島で生活をする不安がありました。自分でも心の整理がつかない日々が続き、家族に話すと反対されました。工房の奥様に正直に今の気持ちをメールで伝えました。文章の最後に「誰の人生でもありません、あなたの人生です。決めたら進みましょう。」という一言が決め手となり私は4月から西表に行くこととなりました。仕事も辞め、苦手としていた車の免許を急いで取り、次々と準備を始めました。2012年4月11日、再び西表に着きました。4月だというのに暑い夏日和です。青い海、赤い花々。早速、工房に向かいました。観光で来た時と気分は違い緊張続きです。工房の奥様は私のお師匠様となります。70代の先生は発想も動きもお話も活発で新しいものに敏感です。伝統的な芭蕉と絹で作る作品は海外でも飾られ、今もファッションショーなどもしているそうです。情報の少ない島でこれだけの事を発信して、映画にも出演しているとは驚きました。布作りは昔ながらの伝統を守り、現代の布についても理解がある先生でしたので伝統的な染織修行をと覚悟していた私は少し安心と期待が持てました。ここは学校でもない、ふつうの工房でもない自由に研究できる場を提供しますと先生はおっしゃいました。自分のやりたいこと、染織漬けの贅沢な日々を思うと嬉しくてたまりませんでした。


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